このプロジェクトで生まれた商品の第一弾が金賞を受賞した「澄SUMU」だった。加工玄米としては初めて消費者庁の機能性表示食品に認定されている。
同社はまず、セラミドが多く含まれているコメの品種を調べた。そうしてリストアップした品種を1年間保管し、セラミドの含有に変化が生じるかも調査している。
研究文献では、摂取する食べ物100グラム(g)に対して1.8ミリグラム(mg)のセラミドが含まれていれば効果があると言われている。同社はご飯一杯160gに相当する精米75gにセラミドが1.8mg含まれている品種を探し、最も多く含まれているのが『つきあかり』だった。「分析するまで品種によってこれほどの違いがあるとは思わなかった」と、開発を手掛けた土橋一郎精米加工部長が振り返る。
同社は玄米をスチーム加工してやわらかく食べやすくした「美食玄米」という商品を販売していた。この技術をつきあかりに転用し、「澄SUMU」が生まれた。
「コメの機能性成分はギャバ(GABA)などが知られているが、セラミドに着目した機能性表示食品はなかった」と品質保証部の村田純子係長は強調する。すでに大手量販店など約500店舗で販売されているという。
コメと健康をつなげる事業を
同社はエネルギー源となるコメに運動へ必要な栄養素を備えた具材を加えたスポーツ専用おにぎり「アスリートライスプラスおにぎり」はじめ、コメで健康的な食事を推奨する商品を開発してきた。冷凍米飯でも機能性を持った商品開発を手掛けている。
さらには、山形県のコメ生産者の協力を得て、海藻から抽出したエキスを肥料にし、通常のコメに比べ1.4倍の亜鉛を含む「亜鉛米」を生産できるようになった。微量要素の亜鉛は健康を保つのに欠かせないミネラルで、健康意識の高い消費者にアピールできる。この亜鉛米を使った「腸活応援弁当」を新横浜駅近くの同社直営のレストランGOHANYAGOHANで販売する。
「機能性を持ったコメを探し出し、そのコメをベースに機能性を持ったごはんや冷凍米飯といった加工した形で販売して波及させる」と有馬本部長は抱負を語る。「澄SUMU」のようなコメの機能性に着目した商品の第二弾を半年以内に出し、シリーズ化する構えだ。