コメで医療界への貢献目指す
機能性を持ったコメの開発は大学や育種機関等で進められており、冒頭にあげた鉄分を多く含むコメや、血糖値上昇を抑えるコメ、GABAを多く含んだコメなどさまざまな成分とその健康効果を謳ったものが登場している。
最近特に注目されているのが、腸の免疫細胞に働きかける成分があるコメだ。すでにどの品種のコメが腸内の免疫細胞を活性化させるのかまでわかっており、こうしたコメを健康効果に生かすべく、冒頭に挙げた国立大学の難治疾患研究所による「超健康コンソーシアム」の一環としてコメによる「FoodAidProject」が立ち上がっている。
このプロジェクトの目標は①ライフステージ、個人の特性に適したコメを食べることにより、簡便かつ安価に生活の質(QOL)を向上させ、健康寿命を延ばし、医療従事者への負担を軽減し、医療費削減、持続可能な生活を実現する。②地産品の機能性米の作出により、農業、および食品・医療産業の発展を掲げている。
コメは誰もが同じように食べる主食から、個人の健康状態やライフスタイルに応じて品種や食べ方を変える時代になりつつある。さらなるコメの機能性に関する研究と、商品開発がコメの市場を変え得る。注目していきたい。