人口問題は国力に直結
歴史からひもとく特徴
──20年、フランスの家族支援関連の給付は法定内だけで310億ユーロ(約4兆6700億円)、フランスの国内総生産(GDP)の2.4%に上る。これだけの金額を家族政策に割くことに、国民のコンセンサスはとれているのか。
OC 家族政策へのコンセンサスは歴史的に、政党や政治体制をも超えて、確立されている。フランスは19世紀から、欧州の他国より早く、自然人口増加の勢いが弱まる問題があった。そこで他国に先駆けて、出生奨励の家族政策がとられた。隣国ドイツと常に緊張状態にあり、人口が国力に直結すると考えられていたことも背景にある。
このような歴史的経緯から、フランスの家族政策は、子育て支援の側面を持ちつつも、明確に「出生を国が支援する」を目的としてきたことが分かる。欧州で唯一、第二子以降にしか家族手当を支給しない国であり続け、さらに第三子以降の誕生には手当の増額や税金の有利な控除など、強いインセンティブがあることからも、政策の意図が分かるだろう。
──家族政策の目的が「出生を支える」と表現される背景について理解できた。一方、フランスの家族政策は財源も特徴的だ。歴史的に国の税金ではなく、雇用主(企業など)の拠出金の割合が多い。
OC CNAFの財源のうち、家族政策に用いられるものの約6割は雇用主拠出の社会保障費だ。1990年代まではさらに多く、実に9割を占めていた。フランスの家族支援は、社会カトリシズムの影響を受けた雇用主に由来し、家族の扶養責任を負う従業員(主に父親)に、特別手当を支払う慣習から始まった。
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