安保激変

2013年9月11日

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小谷哲男 (こたに・てつお)

日本国際問題研究所 主任研究員

1973年生まれ。同志社大学大学院法学研究科博士課程満期退学。ヴァンダービルト大学日米関係協力センター客員研究員、岡崎研究所特別研究員等を歴任。専門は日米同盟と海洋安全保障。法政大学非常勤講師及び平和・安全保障研究所・安全保障研究所研究委員を兼務。中公新書より海洋安全保障に関する処女作を出版準備中。

日本が取るべき対応

 このように、尖閣諸島の本質が台湾問題であることを認識した上で、日本として世界にどのような発信をしていく必要があるか考えたい。

 まず、日本政府の立場は、尖閣諸島が日本固有の領土であり,尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在していないというものだ。すでにみたように、台湾と中国の主権には法的根拠がなく言いがかりに過ぎないため、領有権について話し合う余地がないのは当然である。言いがかりに屈しては戦後の国際法秩序が崩れてしまう。

 ただし、この説明は国際社会に向けてはより丁寧に行う必要がある。事情をよく知らない国から見れば、日本がかたくなに紛争の存在を否定しているようにみえるからだ。「固有の領土」というのは国際的に広く受け入れられる概念ではないため、これを前面に出すよりも、尖閣諸島が台湾の一部であるというフィクションが1970年前後に作り上げられたことを説明し、尖閣問題の本質が台湾問題であるということを強調する方が効果的である。

 次に、日本は領有権問題の存在を認めなくても、国際法に基づいた資源の共同開発には応じるということを、より国際社会にアピールするべきだ。この点では、今年結ばれた日台漁業協定が良い例となる。日本と台湾は領有権問題では意見を異にしているが、双方とも平和的な手段を選択し、協力できるということを示したからだ。これは、ガス田の共同開発に合意しながらもそれを反故にし、実力による一方的現状変更を試みる中国に対する牽制となる。

 最後に、尖閣問題がアジアの将来の試金石だということを強調すべきだ。このまま中国が強硬な姿勢を取り続ければ、アジアの将来は暗いものとなるだろう。日本が尖閣で譲歩すれば、地域における中国の強硬姿勢に拍車をかけるだろう。

 日本は、国際協調と法の支配に基づいた明るい未来をアジアにもたらすために、毅然とした領土保全政策を取っていることを国際社会に示し、中国がその行動を改めるように国際社会と一体となって働きかけなければならない。


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