2024年11月25日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年9月23日

 英国の不参加の決定は、米国の外交政策にとって、米国が世界で何かをしようとするときに大西洋同盟が多くの基盤を与える時代が終わったことも示している。欧州はもはや国際関係の競争の場ではなく、アジア太平洋と拡大中東がそうであるので、これは、ある程度歓迎できることである。

 しかし、変化がそれ以上に示しているのは、英国とその他の欧州が、21世紀の世界を形作る他の地域において、重要な役割を果たす能力も意思もないということである。欧州の政治はより偏狭になり、欧州大陸の統治と経済政策に専ら焦点が当てられることになるであろう。これら全ては、今後、数年、数十年で明らかになるであろう、と述べています。

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 英国がシリア攻撃に参加しないことを決定した結果として、今後の英国とNATOの国際政治における役割が低下することを指摘した論説です。

 ハースは、CFRの重鎮であり、保守、あるいは中立的立場からですが、現政権支持の態度を取っています。その意味では、米国言論界の中道を代表する意見と考えて良いでしょう。しかし、オバマ政権のシリア政策は転々としており、ハースの言う通りにオバマが一貫した態度をとっていないのは周知の通りです。

 この論説を今紹介する価値は、今回の英国の行動が、国際政治における英国及びNATOの影響力の後退、伝統的な英米関係の変化を意味するとすれば、今後の日米関係にも影響があるかもしれない、という点にあります。オバマの迷走のおかげで、米英の特別な関係へのダメージやNATOの国際政治における役割の低下の表面化が抑えられた感がありますが、長期的には、英国、NATOの地位が漸減していくのは、ハースの言う通りでしょう。それゆえ、もし、この秋にも日本が集団的自衛権の行使を認め、日米協力体制を強化するのならば、日本に対して、米国の信頼すべきパートナーとしての期待が浮上してくるような可能性は無しとしません。

 その意味では、今後増大する日本の政治的発言力に備えて、シリア問題、エジプト問題なども、対岸の火事と見ないで、真剣に米国との協議に応じる姿勢が必要かもしれません。

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