トランプとジョーダンの連携
ただ、トランプ前大統領はジョーダン下院議員がオハイオ州立大学でレスリングのアシスタント・コーチ(1987~95年)を務めていた当時、少なくとも177人の男子学生が医師によって性加害を受けた事実(1979~96年)を、コーチとして認識していた疑惑について触れていない。バイデン大統領は演説で、この疑惑について直接コメントをしていないが、事件や出来事に関して「沈黙は共犯者である」と主張する。
トランプ前大統領がジョーダン下院議員に大統領自由勲章を授与した際のホワイトハウスの声明を調べてみると、日付が21年1月11日であった。バイデン氏の大統領就任式は同月20日なので、トランプ前大統領はホワイトハウスを去る直前に授与したことになる。
声明では、大統領自由勲章は安全保障、国益、平和および文化等で功績を残した民間人に与えられる最高の賞であると、明記されている。その上で、ジョーダン下院議員の勲章授与の理由が説明されていた。注目すべきは、最後の理由だ。
米司法委員会の少数派筆頭委員として、ジョーダン下院議員が「トランプ弾劾の魔女狩りと戦った」というのだ。これでは、政治色の強い授与であったと言わざるを得ない。
率直に言ってしまえば、大統領自由勲章はトランプ前大統領を擁護した「ご褒美」であったのだ。加えて、同前大統領はジョーダン下院議員に対して、自分に対する忠誠心を高めるために、勲章を授与したフシもある。
トランプ前大統領はジョーダン下院議員にMAGA共和党を統一させ、来年11月5日の大統領選挙に向けて、同議員と連携しながら、「ウクライナ支援打ち切り」と「ハンター氏召喚」を実現する方向へと推し進めていくだろう。