EaaS=最適な電力供給を需要に沿って行う
これらを踏まえた上で、EaaS(エネルギー・アズ・ア・サービス)の定義とは何か。ブリッグス氏は「さまざまな定義があるが、自分の考えでは2つの電力供給、つまり送電線を使ったメジャーな電力会社からのもの、そしてローカルのVPPや蓄電設備などを使ったもの、の双方をコントロールし、最適な電力供給を需要に沿って行うこと」だと解説する。
さらに、サステナビリティという観念から、電力使用者(ユーザー)が電力ソースを選べるシステムもEaaSに含まれる。例えばソーラーから作られた電力のみを使用したい、供給される中で最も安価な電力を使用したい、というようにユーザーが自分の使う電力の種類を選ぶことも可能となる。
こうしたシステムが社会全体に浸透すれば、全体で使用するエネルギー量は減少し、エネルギーの卸価格を下落させることも可能となる。化石燃料を使う電力は安定しているものの、コントロール(需要に合わせて発電量を調整する)ことは難しい。一方風力は発電量が多すぎる場合は一部を停止するなど、ある程度のコントロールが可能だ。さらにほとんどの再エネは原材料費がかからないため、限界コストは下がることになる。
一見メリットが多いシステムだが、送電線とローカルネットワーク間のコミュニケーション、ローカル内の需給バランスなど、今後はローカルアグリゲータやアグリゲーター間を調整するコントローラーなど、ソフトウェアの出番が広がることになる。そのためにもスタンダード化され、安全性が保証されたソフトウェアの必要性は高まることになり、TEIAに参画する企業は今後も増えることになるのではないだろうか。