そのため、胡の逆襲というよりは、中央政治局内に存在する習への抵抗勢力の動きのように思われる。党の序列9位の張高麗副総理が9月23~24日の第4回全国新彊支援工作会議での重要演説で「科学的発展」に3度も言及したことを同月25日付『人民日報』は報じていた。
3中全会に向けた習近平と抵抗勢力の駆け引き
総書記就任以来、「中国の夢」、「党の大衆路線教育実践活動」、綱紀粛正、さらに7月の湖北省視察で見られた李克強総理を差し置いた経済運営への過剰な介入など、自らの権威を高めるための習近平の矢継ぎ早のパフォーマンスに対する不満が中央政治局内にあってもおかしくない。実際、7月の「党の大衆路線教育実践活動」のスタート時、序列上位7人からなる中央政治局常務委員の足並みは乱れていた。『人民日報』には習以外の6人の関連報道はなく、白けムードが感じられた。
現在、11月開催予定の会議「第18期3中全会」で採択される極めて重要な今後の改革案の策定は大詰めを迎えている。しかし中央政治局内での利害対立もあり合意は容易ではない。このタイミングで「科学的発展観」が中央政治局会議の議題となったことは、抵抗勢力への習の歩み寄りか。それとも抵抗勢力のさらなる不満表出か。
いずれにしても、「科学的発展観」は、胡の代名詞ではなく、すでに抵抗勢力にとってのアンチ習の旗印となったのかもしれない。
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