投票率の高いユダヤ系
バイデン大統領は2024年米大統領選挙で、アラブ系と対立するユダヤ系の票も必要とする。ユダヤ系は投票率が高く、「頼れる有権者」であるからだ。
米国ではユダヤ系の投票率は、平均の投票率よりも約10ポイント高く、選挙により80~85%の投票率に達すると言われている。18年米中間選挙では、ユダヤ系の投票率は85%であった。
バイデン大統領はイスラエルとパレスチナの激しい衝突とそれに伴う怒りが収まらない中で、若者とアラブ系の票に加えて、ユダヤ系の票獲得にもエネルギーと時間を割かなければならない。同大統領には、アラブ系およびユダヤ系に対して絶妙なバランスをとりながら、票につなげていく戦略が求められる。
これに対して、トランプ前大統領は、アラブ系を敵視して、分断を煽り、支持基盤であるキリスト教福音派の結束を図る戦略に出ることが予想される。すでに、イスラム教徒の多い国からの米国への一時的入国禁止の復活のカードをちらつかせている。
異文化共存の視点から述べれば、イスラエル・ガザ戦争で怒りにのまれている若者やアラブ系およびユダヤ系を説得することこそ、今、求められているリーダーの責務ではないだろうか。軍事的衝突から生じた人種や民族間の感情的対立を利用する選挙戦略を受け入れてはなるまい。