世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月9日

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 両岸の平和協定を達成するには、直接的な接触と、濃密な交渉が必要である。両岸が紛争の可能性を減らし、障壁を取り除きたいと望む限りにおいて、何事も排除されるべきではない。台湾と中国は、平和協定が無いことが平和的発展の妨げになる、という局面に入りつつある。建設的で創造的な平和協定が実現できれば、両岸関係にとっての可能性は無限のものとなる、と述べています。

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 中台平和協定の締結は、2008年、2012年の選挙の時の国民党の公約でしたが、馬英九がそれに言及したとたんに国民の支持率が落ち、国民の間で不評なことは明らかとなり、実施されずに現在に至っています。それを今回改めて提案した論説です。

 この提案は、一つの中国の定義をより明確にすることを求めています。今までは、国民党は、「一つの中国、中台別々の解釈」を支持する態度をとっていましたが、それさえも、台湾国内では抵抗がありました。したがって、本提案は、かなり中国側の意向を反映したものと言えます。

 また、中国側の武力不行使の代償の形ではありますが、独立反対を明記することも提案しているようです。これは、民進党としては到底受け入れられない主張でしょう。

 この時期に、このような明確な中国よりの提案が、国民党政府内の要人から提示されたということは何を意味するのでしょうか。

 これが馬英九の指示であるとすれば、国民党は残りの2年間に中台平和協定締結をもう一度試みる意思があるということになります。しかし、馬英九は、今までの経験で、それが次期総統選に悪影響を与えることを知っているはずです。台湾の民主主義を維持し、その民主主義選挙の中で国民党の優勢を確保したいと思えば、簡単にできることではありません。

 あるいは、北京が、次の総統選で民進党が勝つ可能性を考えて、残り2年余りの馬政権の間に、何とか政治協定の締結を実現させようと焦って、観測気球を上げさせたのかもしれません。

 もし、それが北京の方針ならば、北京の次の工作として、第2次オバマ政権に対してこの種の提案の支持に向けて、強力に働きかけることは予想に難くありません。そして、その場合、そのカウンターウェイトとなるのは米議会であろうことも、また、十分予想されることです。

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