2024年7月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月10日

 ここから、世界中の独裁者達は、どんな教訓を得るのか。彼らは、化学兵器を作り、時にはそれを使用することに大きな価値を見出す。サリン、VX、炭疽菌等は、内外の敵を脅し、殺すのに有益であろう。それらは、従って、高く取引されるだろう。そして、破綻寸前の独裁者にとっては、救命具のように役立つだろう。

 賢い独裁者は、化学兵器を時間稼ぎの取引材料に使い、その間に、反乱勢力を鎮圧し、国民がおとなしくなったら、再び化学兵器を開発出来ると考える。

 これが、オバマ大統領が化学兵器禁止の「国際規範」と呼ぶところから生じる帰結である。オバマ大統領は、シリア内戦がもたらす困難な戦略的、人道的挑戦に立ち向かうことをせず、罰を与えたいと言っていたひどい不法行為に対して今や褒美を与えている。軍備管理の名の下に、オバマは、化学兵器の拡散を奨励している。国際法の名のもとに、彼は、条約の順守を損ねている。米国の利益の名のもとに、彼は、米国の敵をつけあがらせている。

 バシャール・アサドは、8月21日に男女及び子供達を殺したサリンガスに感謝しているに違いない。もし、彼がその攻撃を支持していたのなら、それは、決定的な一打であった。化学兵器の犠牲者たちは、苦痛で震えている。アサド、プーチン、イランのハメネイは、笑いで震えが止まらない、と痛烈にオバマを批判しています。

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 ダクラス・ファイスは、2001年から2005年、共和党ブッシュ政権下で、政策担当の国防次官を務めました。『戦争と決断:対テロ戦争の夜明けと国防総省の内実』(War and Decision: Inside the Pentagon at the Dawn of the War on Terrorism)の著者であり、現在は、ハドソン研究所の上席研究員です。

 プーチンの提案により、米国のシリアへの軍事行動が回避された際、多くの人達は、戦争の危機が遠ざかり、中東が安定化すると安堵しました。が、同時に、二つの疑問が投げかけられました。一つは、今回の合意により、アサド政権は延命するのではないか、ということ。そしてもう一つは、シリアの内戦はどうなるのか、という点です。


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