2024年4月21日(日)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2023年11月27日

 現在水産庁は捕鯨問題に関する検討会を立ち上げ、これまで数回会議が開催されているが、その場でもこの操業会社が「現金はほとんど持っていない」ため「運転資金が不足しており、回転式の基金10億円がなければやっていけない」とも指摘されている(水産庁「鯨類の持続的な利用の確保の在り方に関する検討会(第3回)議事要旨」、2023年、3頁)。借金の10億円は年度ごとに返済してまた貸し出すという形式ではなく、「貸しっぱなし」の状態となっている。

 水産庁によると、これは基金事業としての貸し出しで、事業終期の26年3月が一応の返済期限とはなっているが、事業が延長された場合は、この限りではないそうだ。

操業の当てない南極で続く調査事業

 もちろん捕鯨会社も無策のまま手をこまねいているわけではない。「クジラ自販機」を東京や大阪など計5店舗設置したほか、プロモーション活動も行っている。

 卸売価格もキロ800円だったものを1200円まで大幅に値上げし、利潤の拡大を図る。23年度3月期には、ついに赤字経営から脱却し1億5000万円の黒字を計上した、と経営努力を訴えている。

 ただ現状のところ、それは補助金によって支えられたものとなっている。上記の捕鯨操業会社は商業捕鯨の実施のほか、捕鯨操業を実施していない北太平洋の公海と南極海でクジラの目視調査を実施しており、このための「持続的利用調査等事業」という費目には22億円の国庫補助がなされている。

 目視調査の目的は「鯨類の資源評価等を行うため」ということになっているのだが、調査海域で日本は捕鯨操業を実施していない。他の国際条約との関係上、特に南極海では商業捕鯨は実施しないと日本政府は明言している。

 クジラ以外の全ての水産資源の調査に対して「資源調査・評価の充実」の項目の下に充てられる国費は68億円(2023年度当初予算)。一方取る当てのないクジラの調査にかけられる予算は22億円。調査の予算としてはいかにも不釣り合いなようにも見える。しかし捕鯨会社にとって重要な意味を持つのは、この調査によって約10億3700万円の貸船料収入(2022年度)が得られる点だ(共同船舶の2022年度の用船料収入が約10億3700万円(正確には10億3,729万7千円)であることについては共同船舶「事業報告(令和4年4月1日~令和5年3月31日)」、5頁を参照)。

 現在国の捕鯨対策予算40億7200万円 のうち、共同船舶に直接流れているのは3億4500万円。補助金の最大の支出先であり、クジラの調査を実施している「日本鯨類研究所」の30億7000万円に比べると10分の1に過ぎないが、実際はさきほどの貸船料などが鯨類研究所から流れるため、共同船舶には14億円、国の捕鯨予算の35%が支出されていることになる。これがなければ経営は現状では到底立ち行かない。

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 この他法人所在地が同じで理事3人のうち2人を共同船舶の役員が務める 「一般社団法人日本捕鯨協会」が受け取る1億3500万円を併せると出所が国のお金は15億円を超える。さらにこれとは別に先ほどの「ゼロゼロ融資」もある。とてもとても「簡単に独り立ちできるような経営状態にない」のは水産庁も認めるところだ(水産庁「鯨類の持続的な利用の確保の在り方に関する検討会(第3回)議事要旨」、2023年、3頁)。

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