2024年12月7日(土)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2023年4月4日

 われわれに身近な北太平洋の漁業資源を国際管理する北太平洋漁業委員会(North Pacific Fisheries Commission: NPFC)が2023年3月、札幌で開催された。最大の議題は毎年漁獲量が激減しているサンマの資源管理だったが、会議で合意された漁獲枠は近年の漁獲量を大きく上回るもので、資源管理に効果的とは思われないものだった。

このままではサンマが食卓から消えてしまうのか(Hakase_/gettyimages)

 このままでは、サンマがわれわれの食卓から消えてしまうのではないか。そのような懸念さえ持たざるを得ない結果だった。

無きに等しかった国内のサンマ総枠規制

 サンマの寿命は約2年と考えられており、産卵・生育海域は北太平洋一体にわたる。6~7月頃には東経155度以東の日本のはるか沖合を泳いでいるサンマは、9月以降西方向に回遊し、日本近海にも来遊していた(水産研究・教育機構「令和 3 年度 国際漁業資源の現況 サンマ」)。

 「秋刀魚」という漢字が示す通り、この魚の旬は秋であるのは、この日本周辺に来遊したサンマを捕ってきたからである。サンマは安価で秋の食卓に並び、われわれを楽しませてくれていた。

 ただ、一見すると豊饒だったサンマ資源に対する国内での実効的な漁獲規制は、無きに等しいものだった。国連海洋法条約では、沿岸国に対して最善の科学的証拠を考慮し自国200カイリ水域内にある漁業資源の総漁獲枠を設定することが求められている(第61条)。

 日本は1996年にこの条約を批准し、同条約の義務を果たすため「海洋生物資源の保存及び管理に関する法律」を制定、サンマなどに対して「TAC」と呼ばれる総漁獲枠の設定を始めた。ところが、設定された漁獲枠は実際の漁獲量を大幅に上回るもので、枠としては無意味で、いわば「捕り放題」を放任してきた(図1参照)。

(出所)漁獲枠及び漁獲量: 水産庁「漁獲可能量(TAC)と採捕実績の推移(単位:トン)」 (注)2022年は全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)発表に基づく(みなと新聞2023年1月12日) 写真を拡大

 サンマに限らず、イワシにしろ、サバにしろ、どれもこれも捕り切れない漁獲枠を設定してきたのである。しかもこの意味があまりないにせよ漁獲の総枠が国により設定されたものは10種にも満たなかった。


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