2023年12月10日(日)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2023年1月8日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社社員

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会) 『日本の漁業が崩壊する本当の理由』『魚はどこに消えた?』(ともにウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著、『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

アワビは2022年に絶滅危惧種に指定されている(筆者提供)

 IUU漁業という言葉をご存知でしょうか? 持続可能な開発目標(SDGs)14.4に出ていて、世界ではその廃絶が進められています。IUUは、違反・無報告・無規制漁業=Illegal、Unreported、Unregulatedの頭文字をとった言葉です。

(出所)国連広報センター

 今年は2023年なので、すでに期限が過ぎてしまっていますが、「2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する」というのがその内容でした。

 15年に国連で採択されたSDGsは、義務教育やテレビ番組でも取り上げられるようになっています。しかしながら、わが国ではその中にあるSDGs14(海の豊かさを守ろう)、特にSDGs14.4の中にあるIUU漁業の終了が進んでいるとは言えません。そもそもIUU漁業という言葉とその意味自体が、ほとんど知られていないというのが現実ではないでしょうか?

 IUU漁業は資源管理と深く関係しております。つまりこれを放置すれば乱獲が進み、資源に大きな悪影響を及ぼしてしまいます。

(出所)水産白書 写真を拡大

 IUU漁業は海外での問題ではなく、わが国でもあちらこちらで起きてしまっています。上のグラフをご覧下さい。20年の密漁の検挙数は1426件にも上ります。検挙されずに流通している数量がどれだけあるのか想像してみてください。


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