また、ハメネイ最高指導者メディア部門はこれに先立つ11月24日、Xに「シオニストの犯罪者のライフラインを断絶せよ」との動画を公開した他、11月27日にはイラン海軍が新しい駆逐艦「デイラマーン」をカスピ海に就航させるなど海軍力の増強を対外的にアピールしている。すなわち、イランが投げかける脅威への警戒を怠ることはできないのである。
日本としても一層の警戒が必要
日本の資源エネルギー庁によると、2022年度の日本の原油輸入は9割以上を中東に依存しており、ほとんどがホルムズ海峡経由で輸送された。ホルムズ海峡とバブ・アルマンデブ海峡の安定は、日本の資源調達を支えるものだ。言い換えれば、これらの主要経路が脅かされる状況は、日本経済を根幹から揺るがす事態だといえる。
日本の海上自衛隊は11月28日、護衛艦「あけぼの」が武装勢力に乗っ取られた民間船舶を、現場海域で警戒監視していたところ、イエメンから発射された弾道ミサイルが18キロメートル以上離れた海域に落下したと発表した。このように、すでにイエメン沖での騒動は、日本に安全保障上の脅威をもたらしている。今後、日本が米国とともに防衛行動を取ることで、反イスラエル・反米を掲げるフーシ派のような組織から敵視されるのでは、と批判する声が高まることも予想される。
現状に鑑みれば、イスラエル・オーナーの船会社からの傭船を含め、日本の船会社は、自社管理船舶が巻き込まれないための充分な配慮が必要である。イスラエル・パレスチナ情勢の緊張が続く限り、フーシ派によるイスラエル関連権益への妨害は続く可能性が高い。依然「抵抗の枢軸」側に攻撃する理由がある状態であるといえ、今後より一層の警戒が必要だ。
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