2024年12月9日(月)

World Energy Watch

2023年10月26日

 50年前の1973年10月に第4次中東戦争が始まった。エジプト、シリアを支援する中東の産油国はイスラエルを支持する米国、オランダへの原油の輸出禁止を打ち出し、原油価格も数カ月で4倍になった。第一次オイルショックだ。

(IherPhoto/lerbank/gettyimages)

 当時、安価な中東産原油に大きく依存していた日本、欧州の主要国は、エネルギー供給源の多様化、脱石油に乗り出した。

 1973年時点で日本の一次エネルギー供給の75%以上は石油(図-1)、発電の80%近くも石油に依存していた。

 オイルショック以降、燃料用石炭の輸入が始まり、液化天然ガス(LNG)と原子力発電の利用も本格化した。最近では太陽光を中心とした再生可能エネルギーの利用も拡大している。日本のエネルギー供給は多様化された(図-2)。

 それでも、石油が依然として一次エネルギー供給の38%を占めるのは、輸送用燃料、化学原料としての用途が大きく、代替が簡単ではないからだ。世界の主要国も同じ状況にあり依然として石油への依存度は高いが、国により地域により、どの国に供給を依存するかは大きく異なる。

 欧州諸国は化石燃料のロシア依存を深めた結果、ロシアのウクライナ侵攻により大きなエネルギー価格の上昇にあった。 

 日本は中東に石油供給の8割を依存している。ハマスとイスラエルの紛争が拡大すれば、日本は大きな影響を受ける可能性がある。

どうなる石油価格

 エネルギー需要は景気の影響も受ける。20年からはコロナ禍による交通需要の減少を受け、石油の需要も落ち込んだ。今、コロナ禍から需要は回復したが、それほど需要は強くなく産油国(OPEC+)は生産を調整し価格を維持している。

 今回の紛争により原油価格は約10%値上がりした。ハマスのイスラエルへの攻撃前10月6日の国際指標ブレント原油の価格(取引開始時)は84.49ドルだったが、今90ドルを超えている(図-3)。

 50年前のオイルショックとは異なり、サウジアラビアは市場の安定化に協力するとしているし、イランを除く他の産油国にも大きな動きはない。この状態が続けば、原油価格は100ドルを超えないとの観測も欧米ではでている。


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