「井上尚弥」というブランド価値を最大限に活かし、独占生配信を無料で行うことで「スマートライフ事業」の成長を目論むドコモ側と、強大な資本によって高みを目指すビッグマッチ実現にこぎつけた井上陣営にとって、まさに「Win-Win」の関係が構築できた状況といえる。
多様な楽しみを与えるコンテンツへ
もちろん、世紀の一戦を楽しみに待つ視聴者にとっても、動画配信によるライブ中継はメリットが大きい。試合日は12月26日。コロナ過の落ち着きとともに、忘年会シーズンとも重なるが、スマホ一台あれば、仲間内で一緒に観戦することが可能となる。
仕事納めで通勤帰りのビジネスパーソンは電車内で視聴できる。スマホ、タブレットが一人一台の時代に、動画配信によるライブは多様な楽しみ方ができる。
ドコモは今回の一戦で「レミノ」の〝お茶の間〟進出を狙う。
「スマホは手軽な反面、ちょっと観て別の動画を見るという視聴スタイルもある。より「レミノ」を楽しんでもらうためにも、自宅のテレビに『レミノ』を接続してもらいたい。井上選手の試合は大画面でみると迫力も違う。そういう意味でも、ぜひ『レミノ』をテレビで見ていただける環境を増やしていきたい」(田中部長)
「レミノ」はこの試合に向けて、「井上尚弥オリジナルチャンネル」を新設。井上選手のトレーニングの様子やインタビュー、ライトなファン層にも届く井上選手の日常なども配信する。田中部長は「あれだけの選手なのに、おごりをいっさい感じない」と井上選手の印象を語る。
その上で「練習に対するストイックさや、自分を追い込んでいく姿もぜひ多くの人にみていただきたい」と期待する。ドコモの広報担当者も「井上選手の試合に加え、年末ということで多様なコンテンツも用意している。相乗効果も含めて、過去最高のユーザー登録者数を目指したい」と7月の500万超えを見据える。