同社は現在、65アイテムほどの商品を製造しているが、新たな分野としてベビー用品大手のピジョン社の離乳食をはじめ高齢者向けの「おかゆ」も開発した。また、カレー専用のご飯を求める声を拾い上げ、鳥取県産の長粒米「プリンセスかおり」を使用した変わり種のパックご飯も新たに製造・販売を開始した。今後も消費者のニーズに応えた商品開発を行っていくとしており、その目線は国内外へと広がる。
直面する課題と変わるべきこと
そもそもパックご飯が輸出商品として期待できるのか。強みの一つとして挙げられるのが電子レンジやお湯で温めて暖かいご飯が食べられる簡便性だ。海外では、家庭に炊飯器がない国が多いことなどから、普及のスピードは高いと見込まれている。
一方でこうした需要について神明海外輸出部門の舩木秀邦取締役は「海外の家庭で日本食を食べるかと言うとまだまだその域には達していない」と現状を話す。東南アジアを中心に日本食レストランの人気は高まっているものの、家庭でご飯を食べるとまではいっていないという。海外のスーパーで、日本のようなパックご飯の販売コーナーはない。
さらに、海外市場では、現地のパックご飯や韓国のパックご飯が競争相手になっており、日本のものは価格面で不利な立場に立たされる。海外では白ごはんで食べるという習慣がなく、混ぜごはんが主であるという側面もある。
これに対し、船木氏は「海外在住の日本人ニーズ、また世界には約16万店もの日本食レストランがあり業務用としてのニーズや訪日外国人が増加傾向にあるなど品質が高い日本のコメの認知度が高まっている」とみている。
コメ輸出の活路として、例えばパック飯と具材をセットにしたセット米飯商品といった商品設計の創意工夫が必要だろう。それに加え、海外での販売戦略や価格競争力が構築されれば、パックご飯は日本のコメの救世主としてなり得るのではないか。パックご飯メーカーは産地との連携を図るなど今後の取り組みが期待されるところである。