2024年12月2日(月)

お花畑の農業論にモノ申す

2023年12月12日

 毎年のように需要が減少するコメ。農林水産省の見通しによると、このままの減少率が続くと2040年の国内需要は500万トンを割り込むとみている。人口減少に加え、1人当たりのコメ消費量も毎年のように減少しているため、国内のマーケットだけでは需要の回復は見込めず、「海外の需要開拓を図っていくことが喫緊の課題」になっている。

北アルプスの天然水で炊き上げたウーケのパックご飯。コメの輸出拡大への起爆剤になるのか(ウーケ提供)

 そこで注目されているのが国内でも生産量が伸びている「パックご飯」だ。日本のコメを日本の水と製法で炊き上げるというより魅力を発信できる品とみられている。国も農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略で品目別輸出目標を定めており、「コメ・パックご飯・米粉及び米粉製品」を25年までに125億円にするという目標を掲げる。

増加傾向も厳しいコメの輸出

 精米や玄米といったコメそのものの輸出量は22年が2万8928トンで、前年に比べ27%も伸びている。コメ加工品の伸びも著しく、過去5年間で日本酒が約2.5倍、米菓が約1.3倍、パックご飯等が約2.3倍になっている。

商業用のコメの輸出は右肩上がりだが、その規模はまだ小さい(出所)農林水産省「米の輸出をめぐる状況について」 写真を拡大

 ただ、伸び率だけ見ると極めて順調に輸出が増えているように見えるが、もともとの数量が少なかったことから高い伸び率を示しているに過ぎない。実際、これらコメ・コメ加工食品すべての輸出額を合計しても22年は83億円で目標には届いていない。

 国は農水産物の一層の輸出促進を図るべく輸出実行戦略を昨年末に改定。①日本の強みを最大限発揮するための取組、②マーケットインの発想で輸出にチャレンジする事業者の支援、③政府と一体になった輸出の障害の克服という3つの基本的な考えを基に具体的施策を決めた。

 コメについては、まず国別に目標輸出額を定め、その国のニーズ・規制に対応するための課題や方策を示した。国内対策としては輸出産地を育成するために先進的なJA等をモデル産地として、1000トン超の輸出用米に取り組む産地を育成する。

 パックご飯メーカーや米粉・米粉製品メーカーの輸出支援策として、輸出先国の規制等への対応や必要な機械・設備の導入を支援する。さらに全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会(全米輸)が実施する諸外国へのプロモーションを支援する。


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