2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年1月9日

 2023年11月6日付の英Economist誌は、Tom Standage同誌副編集長による、年末恒例の特集記事である「2024年の10の注目トレンド」と題する論説を掲載している。

(yanik88/gettyimages)

 世界は驚くべき速さで変化している。来年、注目すべき10のテーマは次の通りである。

 第一は、世界中で選挙が行われ、民主主義の状況に焦点が当たる。2024年には42億人が居住する国々で70の選挙がある。ただし、多くの選挙は自由でも公正でもない。

 第二は、米国の選択である。ドナルド・トランプが大統領に再当選するかは、一握りのスウィング・ステートの選挙民にかかっているが、その帰結はグローバルなものである。

 第三は、ヨーロッパである。米国の状況は上記の通りなので、ヨーロッパがウクライナに必要な軍事的・経済的支援を提供し、欧州連合(EU)加盟に向けての道を示していかなければならない。

 第四は、中東の混乱である。ハマスのイスラエルへの攻撃、イスラエルのガザへの報復は、地域を大混乱させた。手を広げ過ぎている超大国の米国にとっては、更に複雑で脅威を増す世界に適応できるか試練である。

 第五は、多極化する無秩序である。米国は、力を増す中国との対抗に集中しようとしていたが、ウクライナ戦争とガザによって狂わされた。世界にはより多くの紛争が起こっている。

 第六は、「第二の冷戦」である。台湾を巡る緊張は高まり、米国は先進技術への中国のアクセスを制限し続けるだろう。一方、企業にとって中国への依存を減らすのは簡単ではない。

 第七は、新エネルギーの地理的構図である。クリーン・エネルギーへの転換は新たな超大国を生み、資源地図を書き換える。リチウム、銅、ニッケルの重要性が増す。

 第八は、経済の不確実性である。金利は以前より高く、企業にとっても家計にとっても苦しい状況である。中国がデフレに突入する可能性がある。

 第九は、AIがリアルなものとなる。当局はAIを規制しようとし、IT企業はAIの進化を図る。どのような規制が最善なのかの議論が更に高まろう。


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