2024年12月3日(火)

インドから見た世界のリアル

2024年1月4日

 2024年はどのような年になるだろうか。特にインドを念頭に置いた場合、インドの外交は変化するだろうか。日本で関心を集める点があるとすれば、インドの対中戦略が変化するか、ということであろう。

2023年、インドと中国の関係は難しい状況が続いていた。24年はどうなるのか(2014年、AP/アフロ)

高まるインドと中国の警戒感

 23年、インドの対中戦略は、非常に強いものだったといえる。20年に死傷者多数だした衝突以降続く、印中国境における緊張によって、モディ首相は、習近平国家主席との接触を極力避けてきた。

 両指導者が直接会談したのは、南アフリカで開かれた新興5カ国(BRICS)首脳会談の際だけである。そのBRICS首脳会談で緊張緩和に進むかと思われたが、その直後に中国が出した自国領を示す地図にインドが主張する領土が含まれていたこともあって、その雰囲気は一瞬で消し飛んだ。

 インドは23年、7月の上海協力機構と9月の主要20カ国・地域(G20)の議長国であった。だから、その際に、インドと中国の指導者が会談する可能性もあった。しかし、インドは上海協力機構の首脳会談はオンラインにしたし、9月のG20に習氏が出席しなかった。もともと中国が自国の存在感を示す場として利用してきたG20は、今年、インド主導で、主要7カ国(G7)とグローバルサウス各国の首脳が中国抜きで話し合う場になったのである(「G20からの中国追い出しと西側へ顔向けた議長国・インド」)。

 インドはグローバルサウス各国に呼び掛けた会議も行ったが、自国もグローバルサウスと主張する中国には招待状を出さなかった。グローバルサウスにおけるインドと中国の影響力争いが激化しつつあり、インドの警戒感と中国の警戒感は双方とも激化しつつある。

 一方、インドは日米豪印4カ国による連携の枠組み「クアッド(QUAD)」各国との間で防衛協力を進めつつある。23年春には、中国全土を爆撃できるB-1爆撃機がインドに展開し、日本もオブザーバー参加して、日米印共同演習を実施した(「印中国境の米印軍共同演習に日本が参加する意義」)。

 24年1月26日のインド共和国記念日の軍事パレードの主賓として、インドはQUAD各国の首脳を招待している(ただ、結局調整がうまくいかず、24年はフランスのマクロン大統領になった)。23年実施は見送られたものの、24年に日米豪印英仏空軍の戦闘機と6カ国のオブザーバーを含む共同演習「タラング・シャクティ」も企画している。

 問題はこうしたインドの外交姿勢が24年に変化するか、である。もしこのような姿勢が変化するとしたら、何が考えられるだろうか。多くの要因があり得るが、少なくとも以下の3つは影響を与えるだろう。


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