前回の記事「中立なインドがハマス攻撃でイスラエルを支持する理由」はグローバルサウスの一翼、バングラデシュのダッカ滞在時に執筆したものであるが、今回もグローバルサウスの一翼、南アフリカのケープタウンでこの原稿を書いている(ケープタウンでの筆者の講演はこのビデオの52:55から)。このケープタウンへの出発直前、インド主催で、グローバルサウスサミットと、主要20カ国・地域(G20)のサミットがオンラインで開催され、筆者も連日インドのテレビで解説することになった。
グローバルサウスサミットも、G20サミットも、今年2回目である。なぜインドは繰り返し、これらを開くのだろうか。インドの狙いは何か。大きく3つの特徴から目的が類推できる。
グローバルサウスをめぐる中国との争いの顕在化
第一に、インドは中国には負けられないからである。インドにとってグローバルサウスは、中国との影響力争いが激化している場所をさす。インドがG20の議長国になった今年は、インドにとってチャンスだ。グローバルサウスにおいて、中国の影響力を減らし、インドが影響力を増すチャンスだ。
だから、インドは動いた。インドが開いた第1回グローバルサウスサミットでは、中国を招待していない。中国自身は、自らをグローバルサウスだと主張しているのにかかわらず、である。
インドが開いたG20サミットについても、対面で行われた9月のサミットに習近平国家主席は出ていない。インドにとって、習氏が出席できないサミットを繰り返し開いて、インドの存在感を示したのである。
10月7日に中東情勢の激変が起きると、再び、その機会が訪れた。もし、中東情勢の激変に対峙する中でG20の議長国になったインドが会議を主催しなければ、議長国として存在感を示したことにならない。当然、中国に比べて存在感を示すチャンスを失うことになる。
だから、インドは、万難を乗り越えて、会議を主催しなければならないし、それは習氏の出席なしに行われるべきである。今回の第2回グローバルサウスサミットも、第2回G20サミットも、習氏は出席を拒否し、インドの思惑通り、中国を排除する形で、行われたのである。