2024年7月14日(日)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年10月22日

 米軍需産業がサイバー・ビジネスに力を入れるのは、今に始まったことではない。2001年10月に、ロッキード・マーチンは、連邦政府向け大手 IT ソリューション・プロバイダーOAOの買収を発表した。年商20億ドル(2000年度)の子会社ロッキード・マーチン・テクノロジー・サービスを強化するためだ。同社は、2003年にも、政府向け技術開発企業準大手のタイタン社を買収すると発表した。増加する政府系技術予算獲得が目的で、同様の買収を継続している。米国では、武器装備品に関する予算が制限される一方で、サイバー関係予算は増加しているのだ。

外交・安全保障の視点が欠ける日本

 米中は、サイバー非対称戦を展開しているとも言える。では、日中サイバー戦は起こり得るのだろうか。現段階では、日本はサイバー戦を戦えない可能性もある。

 日本では、2005年4月に内閣官房情報セキュリティセンター(NISC: National Information Security Center)が設置された。また、同年5月に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)に情報セキュリティー政策会議が設置され、今年6月21日に、「サイバー・セキュリティー戦略」を決定している。

 しかし、この中で欠けているのは、やはり、外交・安全保障の視点だろう。日本における情報セキュリティー政策策定や関連活動は、これまで、主として各省庁の出向者から成るNISC、総務省、経産省が行ってきたという背景を考えると、これが日本の限界であるとも言える。

 日本は、安全保障関連情報の収集及び軍事活動を含む、サイバー空間利用の目的を明確にしなければ、具体的活動内容及び覚悟すべきリスクの範囲を決定出来ない。また、サイバー戦や情報・諜報オペレーションには多大なコストがかかることを理解しなければならない。情報はタダではないのだ。だからこそ、情報・サイバー関連ビジネスは巨大になる。「安全保障は金次第」という冷徹な一面を認識しておかなければ、他国との協力も掛け声だけに終わりかねない。


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