米国はこれから約1年、恐らくトランプとの闘いになる大統領選挙そして来年の新政権の発足という政治の季節に入る。その中で、これらの問題が政治に翻弄されないように十分注意していく必要がある。
トランプ政権の元USTRライトハイザーが既に反対を表明。ただし別の報道によれば、トランプの元商務長官らはこの買収を支持しているというから、今党内の意見も割れているのだろう。
一貫して貿易を語らないバイデン
フォルーハーが議論する第二の問題は、バイデン政権の貿易政策である。彼女は、鉄鋼等戦略分野でのフレンド・ショアリング(友邦国間供給網)の構築に当たり、同盟国企業を如何に取り扱うか等につき、バイデン政権は十分な説明をしておらず、政権関係者はまちまちのことを言い、同盟国は困っている、と指摘する。
バイデン政権は過去4年、貿易をほぼ無視してきた。日本による環太平洋経済連携協定(TPP)復帰要請にも反応せず、貿易を避けてきた。
23年4月のサリバン(安保補佐官)のブルッキングス演説やその後のUSTRタイの講演はあるが、観念的で、具体的政策と言えるものではなかった。USTRのタイが、それほど労働と環境を重要視し、WTOに幻滅するのであれば、何故WTOの改革に乗り出さないのか。
それに比べトランプは、政権に復帰すれば10%一律関税を導入する等と無謀極まるものだが、少なくとも考えは明確だ。バイデンは、貿易につきどう選挙を戦うのか。貿易につきもっと語ってほしいところである。