自国の国益を最優先し、移民を排除し、気候変動対策に懐疑的なトランプ張りの極右ポピュリストの発言力が増大し、EUの統合の推進や拡大、人権や法の支配の重視、脱炭素を目指す実効的な気候変動対策といった従来の政策が後退する可能性もあるであろう。
また、10月に任期を迎えるEU大統領、欧州委員会委員長やその他の要職人事をめぐり難航する可能性もあろう。
フォンデアライエン委員長は続投するか
これまで、脱炭素化やウクライナ支援でリーダーシップを発揮してきたフォンデアライエン委員長は、2月19日に続投への意向を表明したが、同委員長の所属する中道右派会派(EPP)が、欧州議会選挙でどのような結果を出すかも注目される。
いずれにせよ極右派が欧州議会で発言力を高めることでEUの政策が右傾化し、また、ウクライナ支援や安全保障条約体制の強化をめぐるEUの結束力に悪影響が出ることが懸念される。さらに、米国でトランプが政権に復帰すれば、対米関係でさらに不確実な要因が増すことから、EUにとって正に歴史的試練の時期を迎えているともいえよう。