2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2024年3月14日

アルコール離れは着実に進んではいるが……

 ただ、1人当たりの酒類消費量は1992年度の101.8リットルから2019年度は78リットル、2020年度には75リットルと、8割以下に減っている。飲酒習慣のある人が少ない高齢者の割合が上昇していることが一因だとされるが、若年層はあきらかに酒を飲みに行かなくなっているし、これまでたくさん飲んでいた40~50代の男性の飲酒量も減っているらしい。

 2015年に経済協力開発機構(OECD)で、日本では「最も飲酒が多い20%の人々が、すべてのアルコール消費量の70%近くを消費している」と報告されたように、一部の飲みすぎている人以外のアルコール離れは着実に進んでいる。

 若者のアルコール離れは飲酒以外にSNSなど、人とつながるツールが増えたことが大きいが、中高年はもっぱら健康意識の高まりが理由。2010年代に糖質制限ダイエットが流行してから、糖質を含むビールや日本酒から、糖質を含まず血糖値を上げない焼酎やウイスキーなどの蒸留酒にシフトする人が増え、糖質オフまたは糖質ゼロ、痛風の原因になるプリン体ゼロ、カロリーオフのビールや日本酒が続々と発売されるなど、アルコールにも健康志向が顕著になってきた。

 コロナで自宅で過ごす時間が増えて外で飲むことが減ったことに加え、健康意識のますますの高まりで、急激に伸びたのがノンアルコール飲料である。とくに生まれたときからインターネットがあるZ世代の若者は、心身の健康を追求するために「あえて飲まない」ライフスタイルを選択する傾向が強いという。

 ビール、日本酒、ワイン、チューハイ、カクテル、梅酒……と、コロナ以前よりノンアルコール飲料の種類が格段に豊富になって味もおいしくなり、売れ行きは右肩上がりだ。ノンアルコールと低アルコールのカクテルに特化したバーも登場し、料理にノンアルコール飲料を組み合わせたペアリングコースを提供するレストランも増えている。

 それでも、清涼飲料水ではなく、酒テイストが楽しめるノンアルコール飲料が求められるのは、古代から連綿と続く飲酒文化への執着かもしれない。個人的には脱アルコールがこのまま広がってほしくはないが、これから「アルコールの健康化」がどのように進展していくのか、目が離せない。

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