今回のプログラムは、2人の振付師が担っているという。
「前半の部分、大地さんが出る前まではシェイリン・ボーンさんに振り付けをしていただいて、大地さんが出てきた後は、大地さんが振り付けをしてもらっている方にお願いをしました。いわゆる舞台の振り付けをされている方です。そういう背景もあって、前半部分のフィギュアスケートの振り付けで滑っている自分と、陸上である舞台の振り付けで滑っている自分がいるので、前半と後半でギャップが生まれないように意識して滑り込んできたつもりです」
陸上の振り付けに氷上とのギャップを生まないとはどういうことか。
「陸上での振り付け(を氷上で演じる上)では、どうしても、上下というか、前後の動きですかね、奥行きがなくなってきたり、動きそのものが小さくなりがちになってしまいます。陸上の振り付けだからこそ、逆にフィギュアスケート(氷上)に落とし込んだときに、もっとこういうふうに表現すれば陸上っぽくもなれたり、逆にフィギュアの良さが出たり、フィギュアってこういうふうに表現できるのではないかなどと、色々と頭の中で計算をしながら作っています」
進化を探り達成した豪華コラボ
表現を平面的にとらえることなく、立体的にとらえるからこそ「奥行き」を意識することができるのではないだろうか。指先の細やかな動きから、表情にいたるまで、いかに魅せることができるか。高い意識で向き合う羽生さんは言う。
「フィギュアスケートって格好いいな、男性だけど美しいなって、こんな奇麗なスケートがしたいって思ってもらえるような姿を見せ続けることが、僕の使命かなと今は思っています」
こうした姿勢でどんな機会にも、進化の可能性を探る。だからこそ、新たな何かを追い求め、常に表現の幅を広げ、進化を遂げていく。豪華コラボも、大地さんと自らがそれぞれ醸し出す「美」を単に組み合わせるのではなく、氷上から飛び出した表現を追い求めたからこそ、運命に翻弄される様も、そこに抗いもがく様も、やがて全てを受け入れて希望を見出していく世界観をも作り出していくことができるのだろう。