交渉は「詰め」の段階だった
「私は2月15日夜の段階で、アレクセイが交換で解放されるという、最終的な確認を得ていました。そして、16日に、彼は殺されたのです」
ナワリヌイ氏が主導した「反腐敗財団」の委員長を務めるマリヤ・ペブチフ氏は26日、オンラインで動画を公開し、ナワリヌイ氏が殺害されたのは、その解放の直前のタイミングだったと暴露した。しかしプーチン氏が「ナワリヌイを自由にすることには耐えられないと考えた」と指摘し、最終的に「交渉の材料(ナワリヌイ氏)を排除する(殺す)ことを決めた」と断じた。
ナワリヌイ氏は他の米国人2人とともに、ドイツで服役しているロシア連邦保安局(FSB)元大佐のワジム・クラシコフ受刑者と身柄交換で釈放される準備が進められていたというのだ。
ペブチフ氏は、一連の交渉や、最終的にプーチン氏がナワリヌイ氏を「殺害する」決定を下したという具体的な証拠は示していない。ただ、そのような交渉が行われていたとの指摘に対し、ロシア当局が否定したという事実も確認はされていない。
プーチン大統領の匙加減ひとつ
ナワリヌイ氏は北極圏に位置する、極寒の刑務所に約3年にわたり収監されていた。その事実だけでも厳しいが、ペブチフ氏の主張がもし事実なら、政敵の運命をどうするかも、プーチン氏の匙加減ひとつで決まるというロシアの現状が改めて浮かび上がる。
3日間の投票期間を経て、3月17日にはプーチン氏が確実に大統領に再選されることは確実だ。プーチン氏は再び6年の任期を与えられ、全うすれば、通算で実質30年に及ぶ超長期政権となる。その後さらに、続投する可能性もある。
その結果として「恐怖とプロパガンダ、そして貧困」が支配する体制がさらに強まるのであれば、それは多くのロシア人にとり、不幸な結果だと言わざるを得ない。