そのようなことができたら、全体の購買力の底上げが実現して経済の活性化にも繋がる。そもそも、労働者は雇用を人質に取られて黙り込み、その一方で保守政党の首相が財界に対して賃上げを懇願するなどという構図は、何か根本的な部分で強い違和感を感じる。
誰もが行うべき正当な権利主張
20世紀とは違って、悪いのは独占資本やブルジョワジーなのではなく、困窮しているのは労働者も経営者も同じであって、もしかしたら悪いのは消費者だったり、規制改革の果実を横取りする外国資本なのかもしれない。そのような場合も、被害者である企業や労働者は、泣き寝入りすることなく、正当な権利主張を行うべきだ。
我慢すること、声を上げないこと、相手を気遣って頭を下げることは、一般的には日本人の美徳である。その点を否定はしない。これを捨ててワガママな文化を全面的に導入してしまえば、日本は日本ではなくなってしまう。
けれども、そのような日本の労働者の美徳が悪用されるのは問題だ。結果的に横暴な消費者や、身勝手な外資が不当な権力を行使して、誠実な企業や、弱い労働者が食い物にされているという構図は是正されるべきだ。そのためには、当事者が立ち上がらなくては事態は改善しない。