2024年6月17日(月)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2024年4月16日

 このため米国などの他のWCPFC加盟国やNGOは、初期資源量比で20%にまで回復させることを第二次資源回復目標とするよう強く求め続けていたが、日本はこれを「自国の漁業者に負担が重すぎる」「こんな高い資源水準にあったのは統計データがある1950年代以降でもわずか数年しかなく、達成は極めて困難だ」として拒否。挙句の果てに「クロマグロの場合、親をいくら取っても子供は一定数生まれるので、これまでの規制で十分だ」と不可解な主張を展開していた。

 しかし、こうした主張が通るはずもない。クロマグロについては手緩い管理に拘泥する一方、資源的には遥かに潤沢だが、全体でみると日本よりも中緯度に位置する国々の漁獲量が遥かに多いカツオについて日本は「資源管理目標は初期資源量比60%にすべきだ」と主張して中緯度諸国の漁獲規制の強化を提唱していた。

 こうした「二重基準」の姿勢はWCPFC各国の猛反発を招き、最終的に日本は「初期資源量比20%」という資源回復目標の受け入れを余儀なくされ、17年に「第一次回復目標達成から10年以内、遅くとも34年までに初期資源量比20%に資源を増加させる」ことを第二次回復目標とする措置がWCPFCで採択、これに伴い、国内的にもクロマグロの規制管理が強化された。クロマグロの規制強化は、まさに「外圧」そのものだったのである。

厳格な資源管理による効果

 こうして国際的に決まった資源管理措置は、その基準も国際的なスタンダードが適用される。日本も批准している「国連海洋法条約」では、締約国は、入手できる最良の科学的証拠を考慮して、生物資源の維持が過度の開発によって脅かされないことを保存措置および管理措置を通じて確保し、最大持続生産量(Maximum Sustainable Yield: MSY)を実現できる水準に資源量を維持または回復しなければならないと規定している(第61条及び第119条1項(a))。

 WCPFC条約でも「入手することのできる最良の科学的証拠に基づくこと」「最大持続生産量(MSY)を実現できる水準に資源量を維持し、または回復できることを確保すること」を謳っている(第5条(b))。この「MSY」という資源管理上の科学概念を用いて、WCPFCの下で管轄されている中西部太平洋のカツオ及びマグロ資源が管理されている。

 もちろん、こうした事柄が国際条約で定められていることは、実際に効果的な保全管理対策が取られることには直結しない。しかし、現状のところ中西部太平洋のカツオ・マグロ資源はクロマグロを除いて乱獲状態にはないとWCPFC科学委員会は推定している。

 水産物については「MSC」と呼ばれる国際基準の海のエコラベルが存在する。まだ認知度は高いとは言えないのだが、実はマクドナルドのフィレオフィッシュの白身魚はMSC認証のスケトウダラで、パッケージにもMSCのロゴがついている。この他日本で探せば見つけることのできるMSC認証の製品にはカツオ・マグロである場合が少なくないのだが、これはWCPFC等の国際的な枠組みの下で管理が成功しているため、認証が比較的取りやすいことにも起因している。

 クロマグロについて、規制の強化は資源回復を誘発したようである。ISCによると、2010年に史上最低水準を記録した後に上昇傾向へ転じ、20年には初期資源量比10.2%にまで回復したと評価している。IUCNは21年、この種を絶滅危惧種から1段階下の準絶滅危惧に格下げした。

 特に近年の急速な回復率には目覚ましいものがある。資源量は19年にはWCPFCで合意された第一次回復目標に到達、29年までに非常に高い確率で第二次資源回復目標が達成されるとISCは予測している。


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