2024年11月21日(木)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2024年4月16日

 ところがそれからわずか数年後の2010年代には早くも資源の大幅な増加が推定され、漁獲枠は12年より徐々に増枠された。直近に関しては23年のCCSBTにおいて、規制が強化される前の水準である1万4000トン台(04~06年)を上回る約2万トンの漁獲枠の設定(24年から3年間)が合意されている。

 「我慢すれば、マグロは増える」ということを、日本を含め世界のミナミマグロ漁業者が身をもって体験したと言える。同様のことが、日本国内の水産資源管理でもできないはずがない。

資源管理する漁業者にサポートを

 減少した資源に対する保全管理策をがっちり強化しようとすると、どうしても短期的には漁獲枠の減少は避けて通れない。こうした場合、資源管理に取り組む漁業者に対して、政府から補助金を拠出してその痛みを緩和する措置を取ることも一案である。

 事実、そのような仕組みはすでにあり(「積立ぷらす」と呼ばれる)、太平洋クロマグロの資源強化に当たっても、こうした制度が実際に活用されている。問題は、この制度が適切とは言えない形で適用されていることである(拙稿「「週1回の休漁」でお金をもらえる?衝撃の日本漁業の資源管理」を参照)。これらを是正することを通じて、まじめに資源管理に取り組む漁業者へしっかりサポートして支えることが必要と言える。

 日本の国土面積は約38万平方キロメートル(㎢)と世界第61位に過ぎないものの、排他的経済水域と領海を併せた面積は約447㎢と世界第6位となり、世界有数の海洋国家と言える。また三陸沖など世界有数の豊かな漁場を有している。

 古よりあるわが国の周りにある豊かな海の幸を持続可能なかたちで利用し、将来の世代に伝えてゆくことは、われわれ全ての責務とも言えよう。そのために必要な思い切った措置が、いま必要とされているのではないだろうか。

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