2024年7月16日(火)

バイデンのアメリカ

2024年5月13日

米中ともに関係悪化は避けたい構え

 このようにバイデン政権は、貿易・経済面では、前政権に劣らず一貫して厳しい対中姿勢で臨んできたものの、他方で両国関係全体の極端な冷却化は避けたい考えだ。それは外交面での米中対話を重視する“政経分離外交”ともいえるものだ。

 実際、去る2023年10月28日、バイデン大統領は中国王毅外相とホワイトハウスで会談した際、「米中の対話維持」の重要性を強調したのを皮切りに、同年11月15日には、サンフランシコ近郊の歴史的邸宅に習近平国家主席を招き入れ、直接対面での首脳会談に臨んだ。さらに今年4月2日には、両首脳電話会談も行われ、両国間、世界の諸問題についての率直な意見交換が行われている。

 両国関係悪化の回避という点では、中国側も軌を一にしているかにみえる。

 去る4月26日、ブリンケン国務長官が訪中、習近平国家主席、王毅外相らと行った会談はその象徴ともいえるものだった。

 このうち外相会談では、ウクライナ情勢、台湾、南シナ海への中国海洋進出など個別の問題では激論が交わされ、双方の立場の溝は埋まらなかったが、習近平主席との冒頭の会談では、対立を避け対話を継続することで一致したとされる。

 また、ブリンケン国務長官によると、中国側はこの会談で、あえて「TikTok」問題を取り上げなかった。この点について、米政府筋は「米国が中国通信機器大手華為(ファーウェイ)に制裁を科した当時とくらべ、比較的トーンダウンしたものだった」ともコメントしている。

 これに対し、バイデン政権側にとっては、「優位性確保」は大統領の基本理念にもかかわる至上課題であるだけに、かりに大統領選で再選されたとしても、引き続き貿易・経済面でのタフな対中姿勢は継続されていくものとみられる。

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