2024年7月15日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年5月23日

 モチヅキとスウェインは、まず米国が中国に対して前向きのアプローチを取って、中国がそれに応える誘因を作るべきであると主張するが、まず行動を改めるべきは、問題を作っている中国の方である。それに、中国が米国のアプローチの変化に応じて行動を変える国であれば、苦労はないのである。

 論説は、中国が台湾有事を念頭に置いたミサイル能力や海洋進出のための水陸両用能力の制限に応じるように、米側は台湾に対する武器供与をバーゲニングチップにして交渉すべきと主張しているが、中国がこうした交渉に乗ってくる余地があるとどうして考えることができるのか理解に苦しむ。

警戒すべきは台湾独立の動きではない

 モチヅキとスウェインは、米国と日本は台湾海峡における緊張を高める行動を避けよと主張し、日本は台湾問題から距離を取れと述べる。しかし、日本は、台湾の独立を支持しないが、中国が武力によって台湾を統一しようとすることにも反対する立場である。

 現状において懸念すべきは、台湾の独立の動きではない。台湾の情勢の変化によっては、日本にも多大の影響が及ぶ。台湾有事が起これば、日本の存立が脅かされる事態という判断になる可能性が高い。

 そうした事態とならないように、自らできる範囲内で措置をとるのは主権国家として当然のことである。危機を避ける最も良い方法は、つけ入る隙を与えないことであり、備えをしておくことである。

 危機を起こさないためには、相手との対話はもちろん必要である。一方、備えをせずに対話をしようとしても、隙があると相手から見切られてしまえばそれまでである。対話は必要であるが、それは備えをした上でのことである。

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