2024年9月29日(日)

World Energy Watch

2024年6月6日

原発の再稼働が進む西日本、遅れる東日本

 原子力規制委員会の新規制基準を満たし、再稼働を果たした原子炉は現時点で、11基である。運転中の全ての原子炉が西日本に位置し、炉型は加圧水型軽水炉(PWR)である。

 九州電力は15年に川内原発を一早く再稼働させた後、18年に玄海原発の運転にもこぎつけた。関西電力も16年より原発を段階的に再稼働させ、廃止措置対象を除いた原子炉全てを動かしている。

 四国電力も16年に伊方原発3号機の再稼働を実現した。中国電力の島根原発2号機は安全対策工事の長期化を理由に、再稼働時期が今年12月になる見通しである。

 西日本と対照的に、福島第一原発と同じ炉型、沸騰水型軽水炉(BWR)が多く採用されている東日本では、原発の再稼働実績はない。再稼働の遅れの理由については、福島原発事故の責任を負う東京電力の消極性や、地元自治体からの同意取り付けの難航などが考えられる。

 こうした中、世界最大級の原発、柏崎刈羽原発の再稼働をめぐる動向が注目を集めている。同原発6号機および7号機(炉型、改良型沸騰水型軽水炉〈ABWR〉)は、17年12月に新規制基準の審査に合格したが、その後テロ対策上の問題が見つかり、再稼働プロセスが一時停滞した。

 東京電力は今年4月に7号機の燃料装荷をようやく完了したものの、地元自治体の認可が得られるかが再稼働へのハードルとして残っている。柏崎刈羽原発が再稼働できれば、火力発電の燃料調達コストは大きく減少し、電気料金の値上り抑制という効果が見込まれる。

廃炉と運転期間延長をめぐる問題

 福島原発事故以後、既存炉の一部は再稼働を迎えることなく、廃炉対象となった。福島第一・第二原発をはじめ、女川原発1号機、敦賀原発1号機、美浜原発1~2号機、大飯原発1~2号機、島根原発1号機、伊方原発1~2号機、玄海原発1~2号機、である。

 廃止の原子炉数は21基、総発電設備容量は約16ギガワット(GW)にのぼる。この点から、日本はBWR炉を含め、停止中の原発を段階的に再稼働させたとしても、原子力エネルギー供給量を3.11以前の水準に回復させることはできない見通しである。

 また既存炉の老朽化問題も深刻化している。既存炉の3分の1ほど(全34基のうち13基)が70年代と80年代に建設され、運転開始から約40年が経過している。


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