強調された日米への非難
日本にも言及があり、原発処理水を「核汚染水」と呼び、「深刻な懸念」が表明された。日本の歴史認識などを念頭に「第二次世界大戦の歴史の否定や改ざんに反対」と記す。
米国、英国、豪州の3カ国による安全保障の枠組み「AUKUS」がアジア太平洋に及ぼす影響にも深刻な懸念が表明された。米国等による中露への経済制裁には、もちろん反対する。
「ロシア側はウクライナ危機の政治的・外交的な解決において建設的な役割を果たそうとする中国の用意を歓迎する」、台湾について「ロシアは『一つの中国』の原則を厳格に守り、台湾は中国の不可分の一部だと認め、あらゆる形の『台湾独立』に反対する」と書かれた。
さらに、米国を名指しして「自らの絶対的な軍事の優勢を維持しようと安定を破壊する企みに対し深刻な懸念を表明する」、米国のインド太平洋戦略などにつき「地域の平和と安定に否定的影響をつくり出している」等と書いている。中露の防衛分野での協力が、地域およびグローバルな安全保障の強化に寄与するとした。
米欧が凍結したロシアの資産から得られる利子をウクライナ支援に活用する動きを念頭に、外国政府による資産押収を非難した。5月17日付日経新聞は、「目立つのは日米への非難だ」と書いている。
今回のプーチン訪中には、2022年2月の中露声明のようなインパクトは窺えない。ウクライナ戦争の長期化に伴い、中国にとり中露関係の「無限性」の重要性は下がっているとの指摘もある。しかし、対露軍事支援についてのブリンケン等の対中圧力は強めていくべきだろう。