2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年6月7日

 2024年5月9日付のフォーリン・アフェアーズ誌で、Joseph Wu台湾外交部長(当時)は、「ウクライナ防衛による台湾防衛」と題する論説で、ウクライナ支援は、中国・ロシア連合に対する民主主義諸国の力を高めることができ、中国の冒険主義に対する重要な抑止力にもなると主張し、その理由を明快に説明している。

中国とロシアの連携が緊密化している中、台湾をはじめとした民主主義陣営は結束する必要がある(代表撮影/ロイター/アフロ)

 グローバル社会では、全ての国の安全保障は他国の安全保障と密接に結び付いている。民主主義諸国は、民主主義世界の分断を図る権威主義的勢力の攻撃を受けている。ロシアの侵略からウクライナを守る国際的支援が、台湾を守るための国際的関心と資源を奪っていると言う人もいるが、この考えは、世界の民主主義国家の地政学的利害が密接に結び付いている事実を過小評価している。

 中国とロシアが緊密に連携している以上、民主主義国家は協調して行動することが不可欠である。ウクライナ支援を通じ、民主主義諸国は中国・ロシア連合に対する相対的な力を高めることができよう。

 台湾は、米国議会が最近、ウクライナに対する米国の軍事支援継続を決定したことを歓迎する。このような民主主義を守るための決意表明は、中国の覇権主義に対する重要な抑止力となる。

 ウクライナ同様、台湾防衛もまた世界的な意味を持つ。もし中国が台湾に侵攻した場合、世界経済は約10兆ドルの損失を被る、これは世界の国内総生産(GDP)10%近くに相当する。また、コンテナ船は台湾海峡を通過するため、国際的サプライチェーンにおいて、台湾は非常に重要である。

 今年4月、台湾が過去25年間で最大の地震に見舞われた際も、中国は海峡を越えて軍艦や航空機を送り続けた。中国の国連代表団は、台湾の代弁者を装い、お見舞いに感謝した。

 中国が軍事的、外交的、情報戦によって台湾の人々に恐怖を植え付ける。台湾人は国を挙げて中国に対抗する。


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