2024年7月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年6月7日

 中国とロシアの行動を見ると、「制限のないパートナーシップ」に基づいて互いの膨張主義を強化して、民主主義諸国間の分断を進め、中・露にとって有利な国際環境づくりに務めているかのごとくである。

 その一方で、中露関係は、プーチン氏にとって「屈辱的な関係」になりつつある。中国はロシアから石油・天然ガス等を輸入してロシア経済を支え、ロシアを「属国化」している。

 中央アジア地域のカザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンはロシアから離れ、「中国・中央アジア運命共同体」を構築すると昨年首脳会議で宣言した。今や旧ソ連諸国で「ロシアの勢力圏」と言えるのはベラルーシぐらいである。

 さらに最近、米国は、中国からの輸入部品を使ってロシアが軍需品生産を加速しているとみて、中国に対する金融制裁を検討中と報じられているが、中国企業に対する金融制裁は中露関係およびロシアの戦闘能力構築に大きく影響しよう。

日本が真剣に検討、協力すべきこと

 台湾がウクライナから学んだ最大の教訓は、「自衛への強いコミットメントがなければ、同盟国からの支援も期待することはできない」ということであった。この点は、現在の日本が最も「心に刻むべき課題」である。

 また、論文の最後では、中国の脅威を抑止するために、3つの点で民主主義国の支援を得たいと強調されている。3点とは、中国の威圧行動への適切な対処、経済統合そして国連決議の解釈であるが、日本政府は、この3点を真剣に検討し、協力すべきであろう。それが、台湾のみならず、日本の国益、地域・世界の平和と繁栄に資することになろう。

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