2024年11月22日(金)

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2024年6月28日

東京都の取り組み

 各市町村が補聴器に対する助成(支援)を単独で行うのには、確かに限界があるだろう。

 しかし国レベルでの助成は最初に書いた通りで、加齢性難聴の「軽度」「中等度」に対する支援は、今のところ、行われていない。

 では、都道府県レベルではどうなっているのか。

 東京都の例をあげると、東京都では今年令和6年度から『高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業』を開始した。これは、区市町村が高齢者を対象とした補聴器購入費助成制度を実施する場合に、その費用の1/2を都が補助するものである。

 ちなみに去年令和5年度までも、『高齢社会対策区市町村包括補助事業』という別の事業によって費用の1/2の補助を同様に行っていた。が、この事業は「高齢社会対策に係る様々な取り組み」を補助するもので、補聴器購入への助成は「その一部」という位置づけだった。

 つまり、補聴器に対する助成は、正に今年度から「独立した事業として」開始されたところなのだ。

「本事業は、加齢性難聴の高齢者のコミュニケーション機会確保を推進し、介護予防につなげるため、加齢性難聴の早期発見・早期対応に係る区市町村の取り組みを支援するもので、予算額は5億8300万円です。補助内容を明確化することで、『より多くの区市町村で取り組みが進むこと』と、『加齢性難聴に係る普及啓発等早期発見・早期対応に係る経費を新たに補助率10分の10で補助して支援を強化すること』を目的として、令和6年度から単独事業としています」(東京都福祉局高齢者施策推進部在宅支援課、以下同)

 ちなみに去年度まで行われていた『高齢社会対策区市町村包括補助事業』は平成19年度のスタートで、補聴器購入に対する最近の補助実績は、平成30年度が2自治体、令和元年度4自治体、令和2年度7自治体、令和3年度12自治体、令和4年度15自治体、令和5年度23自治体となっている。     

 なお、『高齢社会対策区市町村包括補助事業』の中で、今年度に別事業としたものは「補聴器事業以外はありません」とのことである。

23区の助成状況

 東京都の中でもさらに23区に目を向けてみると、令和5年度に補聴器に対する助成を行っていたのは19。

東京23区の「助成金制度がある自治体(令和6年度)」。資料作成・提供:オトクリニック東京

 残りの4区(台東区、世田谷区、中野区、北区)でも、今年令和6年度には助成をスタートすることになっている(一部スタート済で、中野区は8月~、台東区は11月~スタート予定)。

 ちなみに、最初に紹介した「全国の助成状況」も同じように変わってきていて、各自治体のホームページを確認すると、今年令和6年度から新しく助成をスタートしていたり、元々あった「75歳まで」などの年齢上限を撤廃していたり、「非課税である」などの条件を緩和していたりする自治体が数多く出てくる。改めて、補聴器に対する公的支援が広がり始めていることを感じる。


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