2024年7月3日(水)

BBC News

2024年7月1日

米大統領選挙の1回目の討論会でジョー・バイデン大統領が不安定なパフォーマンスに終わったのを受け、与党・民主党の有権者らがバイデン氏について、認知機能の面から大統領としてふさわしいのか懸念を深めている様子が、新たな世論調査から浮かび上がった。

米CBSニュースと調査会社ユーガヴが6月30日に公表した世論調査では、登録有権者の72%がバイデン氏について、大統領として求められるメンタル面および認知機能面での健康が保たれていないと考えているとの結果が出た。以前の世論調査で同様の回答をしたのは65%で、今回急増した。

ドナルド・トランプ前大統領についても、49%が同様の不安を示した。

バイデン陣営にとって特に憂慮すべきは、民主党の登録有権者の45%が、バイデン氏は他の候補のために身を引くべきだとの考えを示したことだ。

バイデン氏は81歳、トランプ氏は78歳で、年齢に対する懸念は27日の討論会の前から出ていた。しかし、バイデン氏のかすれた声や不明瞭な受け答えによって、民主党員の間でバイデン氏が同党候補となることへの懸念が再燃。大統領選からの撤退を求める声も出ている。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースが、バイデン氏と家族の会話を知る人物の話として伝えたところでは、バイデン氏は30日に大統領公式別荘キャンプ・デイヴィッドを訪れた際、選挙戦にとどまり、戦い続けるよう家族から励まされたという。

一方、バイデン氏を支持してきた民主党のジェイミー・ラスキン下院議員(メリーランド州)は、30日の米MSNBCのインタビューで「難しい状況」だと発言。「私たちの党のあらゆるレベルで、とても率直で真剣かつ厳格な話し合いがされている」と述べた。

ラスキン氏は同時に、最終的に決断するのはバイデン氏であることに変わりはないと強調。「バイデン大統領がどんな決断をしようと、私たちの党は結束するし、選挙戦の話し合いの中心に彼にいてもらう必要がある」と付け加えた。

討論会からの数日間で、ジル・バイデン大統領夫人、カマラ・ハリス副大統領、バラク・オバマ元大統領らが、バイデン氏の討論会でのパフォーマンスがベストではなかったと公言している。

ただ、この3人を含む多くの民主党支持者らは、バイデン氏の撤退を求める声をはねつけている。

民主党のハキーム・ジェフリーズ下院院内総務は30日のMSNBCの番組で、討論会におけるバイデン氏のパフォーマンスについて、「(選挙戦にとって)挫折となったが、挫折は復活のお膳立てに過ぎないと私は信じている」と述べた。

今回の世論調査の結果は、バイデン陣営のジェン・オマリー選対委員長が29日に共有したメモとは対照的だ。このメモでは、バイデン氏の撤退を求めているのは政府関係者らであり、各地の国民ではないとしていた。

バイデン政権の関係者らは、今回の世論調査について聞かれると、支持率に関する世論調査の方が重要だとし、そうした調査ではバイデン氏がトランプ氏を1ポイント差でリードしているか同率だと主張した。

ある関係者は匿名でCBSニュースに、「草の根の人たちは支持率比較の世論調査を見ており、政府関係者らのようなパニックには基本的に陥っていない」、「(討論会があった)木曜日の前は彼(バイデン氏)は年を取りすぎていると考える人々がいたが、そうした人たちの多くがなお、トランプではなく彼を支持していた」と話した。

しかし、討論会後の有権者インタビューで聞かれた声は、今回の世論調査で示された懸念を裏付けている。有権者らはBBCニュースに、大統領が心配だと話していた。

ある民主党の有権者は討論会後、「バイデンがこの国を率いる能力について、今日はこれまでにないほど不安を覚えた」とBBCに話した。

バイデン氏をめぐって懸念が強まるなか、同氏陣営の幹部らは30日朝、テレビの政治番組に相次いで出演した。

大統領の盟友で選対共同委員長を務める民主党のクリス・クーンズ上院議員は、ABCニュースの「ディス・ウィーク」で大統領を強く擁護。「ジョー・バイデンには信じられないような実績がある。彼は他の米国民と同じく、打ちのめされたら立ち上がり、さらに強力に戦うのだということを知っている」、「彼はそうするつもりだ」と述べた。

バイデン氏の認知機能面での適性について質問されると、クーンズ氏は直接は答えず、トランプ氏に対する懸念を持ち出した。また、バイデン氏が自らの年齢や安定性を不安視する声に耳を傾けているかどうかについても、クーンズ氏は明言を避けた。

そして、「ドナルド・トランプに勝てる民主党員は彼しかいない」と、クーンズ氏はバイデン氏について述べた。

民主党のラファエル・ワーノック上院議員は、NBCニュースの「ミート・ザ・プレス」で、バイデン氏は「絶対に」選挙戦から撤退すべきではないと訴えた。

キリスト教の牧師でもあるウォーノック氏は、「もっといい説教をできたらよかったと思った日曜日は何度もあった」、「しかし説教が終われば、メッセージを体現し、自分が仕える人々のために姿を見せることが私の仕事だった。ジョー・バイデンはまさにそれをしてきた」と述べた。

一方、共和党議員らは、バイデン氏のパフォーマンスに対する批判を一段と強め、トランプ氏が正しい選択であることが示されたと主張した。

共和党のJD・ヴァンス上院議員は30日のFOXニュースの番組で、「ジョー・バイデンのパフォーマンスは散々だった。だからこそ、彼を差し替えることが話し合われているのだ」と述べた。

ヴァンス氏はまた、討論会でのトランプ氏について、魅力的で面白く、「人当たりの良い態度」だったと評価。「米大統領を務めるには必要な要素だ。発言を完結させられないように見えたジョー・バイデンとは対照的だ」とした。

(英語記事 Allies defend Biden as poll suggests growing age concern

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cl4yjzmkxj2o


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