チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年12月17日

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 つまり中国軍は米軍機の防空識別圏「侵入」に何の反応も示さなかったわけである。その直前の数日間、中国軍関係者が「臨戦態勢」を示唆したり「緊急措置」をとることを公言したりして対決への「決意」を語ってみせたが、いざ米軍機が入ってきた時、彼らは結局何もしなかったのである。

 また、28日には日本政府も自衛隊機が中国の防空識別圏内を飛行したと発表。日本の自衛隊に対しても、中国軍はいっさい反応しなかったという。

 つまり中国は結果的に、日米両国の軍機による通報なしの防空識別圏通過をいとも簡単に許してしまったが、前後の経緯からすればそれは当然、中国軍と習近平指導部の面子の丸つぶれを意味するような大失態なのである。

結局「普通の」防空識別圏に

 だがこの出来事の持つ意味は単に中国の面子を潰しただけの話ではない。防空識別圏の一件をめぐる日米と中国との攻防はこれで勝敗を決めたわけである。

 ここでの重要なポイントは、中国の設定した防空識別圏は単に「識別」するだけの普通の識別圏ではなく、他国機の通過に「事前通報」を強要してその飛行の自由を奪おうとする特異なものだ、という点である。つまり、防空識別圏の「領空化」こそが中国側の狙いであり、問題の本質なのであるというのは前述の通りだ。

 そしてそれに対して、日米両国はいっさい認めない姿勢を示しただけでなく、実際に軍機を派遣して事前通報なしの自由な飛行を敢行した。しかしそれに対して中国側はいかなる反応も「対抗措置」もとることができなかった。要するに、この時点では中国側の設定した「特異な」防空識別圏はすでに日米両軍によって破られてしまった、骨抜きにされてしまったのである。

 中国側はその後、米軍機と自衛隊機を「識別し監視している」と発表したが、しかしそれでは彼らの防空識別圏は「普通の」防空識別圏に戻ったことを意味する。つまり、防空識別圏の「領空化」を狙う中国の目論みは失敗に終わったのである。

国民の厳しい目

 中国の敗退に追い討ちをかけているかのように、韓国国防省も27日、海軍の哨戒機1機が26日、中国が設定した防空識別圏内の上空を、中国に通報せず飛行したことを明らかにした。

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