2024年7月21日(日)

BBC News

2024年7月20日

世界各地で18日から19日にかけ、大規模なIT障害が発生し、企業の業務に混乱を招いている。

サイバーセキュリティー企業「クラウドストライク」は、ソフトウエアの更新時に障害があったと発表。この障害により、米マイクロソフトのパソコン基本ソフト(OS)ウィンドウズが使用できなくなり、世界各地の企業や銀行、銀行、病院、空港などの運営に影響が出た。

クラウドストライクのジョージ・カーツ最高経営責任者(CEO)は、障害について謝罪。すでに修正プログラムが発行されたと述べたが、すべてのシステムが復旧するまでには「しばらく時間がかかる」可能性があると認めた。

この障害を受け、航空業界では何千ものフライトが欠航となった。一部の航空便は通常運航に戻り始めているが、運航会社は週末まで遅延やキャンセルが続くと予想している。

また、多くの企業が現在、解決に数日を要するような受注残や受注漏れに対応している。

イギリスやイスラエル、ドイツでは医療サービスも問題に見舞われ、一部の手術がキャンセルされたという。

この世界的な混乱から、世界の相互接続技術の脆弱性や、たった一つのソフトウエアの不具合がこれほど広範囲に影響を及ぼすことが、あらためて問題視されている。

システムは徐々に復旧中

マイクロソフトによると、この障害は日本時間19日午前3時に始まり、サイバーセキュリティーソフトウェア「CrowdStrike Falcon」を実行しているウィンドウズユーザーに影響を与えた。問題全容がようやく明らかになったのは、午後になってからだという。

20日未明までには世界の多くの地域で問題が緩和された。各地の空港では、チェックインと支払いシステムにまだ問題が残っているものの、ほとんどの航空便は運航中だという。

クラウドストライクのカーツCEOはソーシャルメディアで、「ウィンドウズ・ホスト向けの単一のコンテンツ更新に欠陥が見つかった」と説明した。

また米NBCの取材に対し、「顧客、旅行者、そして当社を含む、この件の影響を受けたすべての人々に深くおわびする」と答えた。

「多くの顧客はシステムを再起動しており、徐々に復旧している」

「自動復旧しないシステムもあるため、しばらく時間がかかるかもしれないが(中略)すべての顧客のシステムを完全に復旧させることが我々の使命だ」

マイクロソフトも、数回の再起動が必要になる可能性があると述べている。一部のユーザーによると、問題が修正されるまでに15回もの再起動が必要になる場合もあるという。

また技術専門家によると、クラウドストライクの修正プログラムは、影響を受けたすべての端末に、個別に適用する必要があるという。

クラウドストライクは、サイバーセキュリティー業界最大手の一つ。その影響力の大きさや、サイバーセキュリティーほど重要な業界をごく少数の企業でコントロールすることが賢明なのかどうか、疑問の声が上がるのは必至だ。

クラウドストライクの株価は19日に約12%下落。競合のセンチネルワンとパロ・アルト・ネットワークの株価も影響を受けた。

航空業界に大きな影響

今回の問題はオーストラリアで最初に指摘された。目に見える形での影響は、航空業界でとりわけ明らかだった。

空港で手続きの遅延が発生したほか、フライトもキャンセルや遅延が相次いだ。航空機が運航を中止し、乗客が足止めされ、長蛇の列ができた。

乗客のチェックインを手作業で行うため、臨時の職員が投入された空港もあった。

航空データ会社シリウムによると、日本時間20日午前2時までに約4000便以上のフライトがキャンセルされた。これは全体の3.9%に当たるが、別の自由で欠航となった便も含まれているという。

さらに、世界各地の決済システムや銀行、医療機関も影響を受けた。

特に週単位で支払いが行なわれている企業では、従業員への賃金支払いに苦慮しており、長期的な影響を及ぼす可能性もあるとみられている。

一部の鉄道会社で遅延が警告されたほか、英民放スカイニュースとABCオーストラリアでも障害が発生した。

(英語記事 Global services slowly recovering after bug causes IT chaos

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cxw2gpz9k2zo


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