2024年12月11日(水)

バイデンのアメリカ

2024年7月20日

 米国のバイデン大統領がトランプ共和党大統領候補とのTV討論会で大失態を演じて以来、民主党内で一気に高まりつつあった選挙戦からの撤退論がトランプ氏銃撃事件以来、失速気味になっている。一方で、このままバイデン氏が8月党大会で民主党候補に正式指名された場合、敗色が一層濃くなるとみられるだけに、民主党としてのジレンマは深刻だ。

バイデンは〝決断〟するのか(ロイター/アフロ)

バイデン批判は沈静化したものの

 「“バイデン・ダム”決壊間近か」――。米マスコミの中には、去る6月27日討論会直後から民主党内で噴出した撤退要求の勢いをこんな見出しで報じたところもあった。

 実際、その後1週間以内に、ロイド・ドゲット(テキサス州)、ラウル・グリジャルバ(アリゾナ州)ら5人の民主党下院議員がバイデン氏に直接撤退を要求した。そして今月12日までに、その数は18人にまで膨れ上がった。

 上院でも、去る10日、ピーター・ウェルチ議員(バーモント州)が先陣切って、撤退要求の戦列に加わった。このため、バイデン氏が撤退に追い込まれるのも「時間の問題」とみられていた。

 ところが、13日夕に起きたトランプ氏銃撃事件以来、民主党内のバイデン批判の動きはぴたりと水を打ったように止まった。 

 同事件発生時、銃弾で右耳に傷を負い出血しながらもこぶしを振り上げ闘志を見せるトランプ氏の“剛毅ぶり”が全米でTV放映されたのをきっかけに、共和党の結束が一段と高まりつつあるのと対照的に、民主党内の分断が加速することへの警戒感が出てきたためだ。


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