「重大発表」は近いか
この点に関連して、ニューヨーク・タイムズ紙の著名コラムニスト、ニコラス・クリストフは急遽、同紙17日付けで「民主党はバイデンに真実を語る勇気があるのか」と警鐘を鳴らす特別記事を執筆、次のように論じた:
「無為無策のまま時間だけが経過していけば、民主党はホワイトハウスのみならず、上下両院を共和党に明け渡し、民主主義体制そのものが脅威にさらされる」
「世論調査やこれまでの選挙実績は、トランプが脆弱な候補であることを物語る一方で、民主党はこのままではより弱体化した候補を正式指名することになる。それにもかかわらず、党内では驚くほど、民主党がこれまで掲げてきた政策目標の達成より、バイデン大統領個人への従僕を優先する空気がはびこっている。議員の多くは、もはや党として“惨事”の軌道をたどっていることを知りつつも、自らは立ち上がらず、ほかの誰かに声を上げさせようとしており、これはまさに『怯懦(cowardice)』にほかならない」
「バイデンは撤退を回避し続けるかもしれないし、その場合、党内での撤退論議そのものがトランプ勝利の可能性を増大させることもあるだろう。しかし、それでもこの際、バイデンに対し、わが国のため、そして自身のレガシーのためにも(撤退という)正しい決断をさせるようあらゆる手を尽くす価値がある。バイデンに関するリスクは、たんに大統領選での敗北だけではない。仮に勝利しても、今後さらに4年間の職務遂行能力にも関係しており、政治の次元にとどまらず、国家安全保障上の問題となる」
一方、政治メディア「The Hill」は18日、風雲急を告げる政権内部の動きに関する最新情報として、バイデン氏が来週明け早々にも、「重要発表(major announcement)」を行うとみられると報じた。その情報源を「ホワイトハウスにつながる民主党事情通」としている。
さらに、「議会民主党指導部は、バイデン撤退を前提に、代わってカマラ・ハリス副大統領が党の正式指名候補となることを期待しており、同党戦略家たちや政治献金者たちの間の話題は、誰を彼女の副大統領候補とするかに移っている」とも伝えている。
この報道に対し、アンドリュー・ベイツ大統領副報道官は「虚報」として否定している。
いずれにしても、バイデン既定路線か候補差し替えか――。今後1週間程度のうちになんらかの判断が下される公算が大きくなっている。