2024年8月7日(水)

BBC News

2024年8月6日

今年11月のアメリカ大統領選に向けて、民主党の大統領候補になったカマラ・ハリス副大統領(59)は6日、副大統領候補にティム・ウォルツ・ミネソタ州知事(60)を選んだと発表した。ウォルツ氏を伴走者にすることで、勝つために重要な中西部の白人男性票を見込んだとされている。

ハリス副大統領は声明で、「伴走者になってもらいたいと、ティム・ウォルツに頼みました。このことを発表できて、誇らしい思いです」と明らかにした。

「知事として、コーチとして、教師として、そして退役兵として、彼は自分の家族のような勤労家庭のために、結果を出してきました。彼がチームに参加してくれるのは、最高です。さあ、がんばりましょう」と、ハリス氏は述べた。

同日午後にはペンシルヴェニア州フィラデルフィアで選挙集会が予定されており、そこで初めて正副大統領候補が並んで登壇する見通し。

今月19日からシカゴで始まる民主党の全国党大会で、両者の候補指名が正式に発表される。ハリス氏は5日に終わったオンライン投票で、指名に必要な民主党代議員の票を確保した。

民主党は、公立高校の教師や高校のアメフト・コーチのほか、約20年にわたる州兵の経歴をもつウォルツ氏が、本選勝利に不可欠な中西部で、農村部や勤労世帯の有権者の支持を得られると期待している。

民主党重鎮のナンシー・ペロシ元下院議長は同日、米MSNBC番組のインタビューで、「ティム・ウォルツは最高です」とハリス副大統領の選択を歓迎。ウォルツ知事は「アメリカの民主党支持者のどまんなか」だと評した。

ウォルツ氏は2018年の州知事選で当選するまでの12年間、連邦議会の下院議員を務めた。

下院議員としては、オバマ政権の医療保険改革法や最低賃金引き上げを支持。温暖化対策のため温室効果ガス排出量の削減策も支持した。他方、共和党の政策にも一部同調し、イラクやアフガニスタンでの米軍駐留予算を支持したり、アメリカに入る難民の審査強化を支持したりした。

全米ライフル協会(NRA)に支援されたこともあるが、2018年に起きたフロリダ州パークランドの高校乱射事件を契機にアサルトウェポン(殺傷力の高い自動小銃など)の禁止を支持したことから、NRAからは支援されなくなった。

ミネソタ州ミネアポリスで2020年5月に黒人男性ジョージ・フロイドさん(当時46)白人警官に首を膝で押さえつけられて死亡した事件では、大規模な抗議デモに対処するために州兵を派遣した。州知事としての力量は、この時に全国的に脚光を浴びた。

民主党が優位のミネソタ州そのものは激戦州ではないが、ウォルツ氏は「中西部の小さい町」らしい感覚の持ち主として、党派性を超えて広く有権者にアピールすると期待されている。

明るく前向きな性格で知られるウォルツ氏は、左派の政治家でありながら、その率直な物言いと宗教的な信念から、穏健中道派のような存在感を得ている。

また、最近では共和党のドナルド・トランプ大統領候補とJ・D・ヴァンス副大統領候補を「weird dude(変なやつ)」と率直に呼んだことが全国的に注目された。以来、ハリス陣営は対立候補たちを「weird」と呼ぶオンライン・キャンペーンを展開している。

ウォルツ氏は、ハリス氏の副大統領候補選びで当初は名前が出ていなかったものの、途中から有力視されるようになった。終盤まで、激戦州ペンシルヴェニア州のジョシュ・シャピロ州知事や、アリゾナ州選出のマーク・ケリー上院議員、ピート・ブティジェッジ運輸長官などの名前が、対抗馬として取りざたされていた。

自分と同様に教師だった妻グエンさんとの間に、子供が2人いる。

アメリカ大統領選の副大統領候補は、大統領候補を補うことが条件として重視される。カリフォルニア州出身で、ジャマイカ出身とインド出身の両親をもつハリス氏の伴走者として、中西部ネブラスカ州出身で白人男性のウォルツ氏が選ばれた。

(英語記事 Kamala Harris picks Tim Walz as running mate - reports

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c2l11y1v7y4o


新着記事

»もっと見る