2024年8月15日(木)

BBC News

2024年8月15日

パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスの幹部は14日、ガザでの停戦と人質の解放に関する合意をめぐって15日にカタールの首都ドーハで再開される予定の間接的な協議に、ハマスは参加しないとBBCに明らかにした。一方、イスラエルは交渉団を送るとした。

ハマス幹部は、すでにまとまっている合意の実施に向けた行程が示されることを、ハマスは望んでいると主張。「イスラエルに戦争を続けるための偽りの口実を与える、交渉のための交渉には参加しない」と述べた。

また、行程は、5月末にアメリカのジョー・バイデン大統領が示した合意案に基づくべきだと主張。イスラエルについて、「新たな条件」を追加していると非難した。

5月の合意案には、イスラエルのガザ地区からの撤退や、ガザ北部への住民の制限なしの帰還、人道支援の流入、イスラエル人の人質らの解放などが盛り込まれている。

ハマス幹部はさらに、「新たな条件を加え、以前の合意を反故にしたのはイスラエルだ」と付け加えた。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相側はこれを否定。29点にわたる変更を要求しているのはハマスだと、その要求の詳細を示さずに主張した。

15日の協議は、ハマスが不参加でも開かれる見通し。アメリカ、エジプト、カタールの仲介者は、残ったままの問題を解決するための計画を、この会議でまとめたい考え。

停戦合意に向けた協議は、ハマスの政治指導者で交渉役トップを務めていたイスマイル・ハニヤ氏が先月、イランの首都テヘランで暗殺されたことを受けて中断している。

イランはイスラエルへの報復を宣言しているが、アメリカはガザでの停戦の合意をまとめることで、イランの軍事行動を食い止め、地域紛争を回避したい意向だ。イスラエルは暗殺への関与を肯定も否定もしていない。

イスラエルは交渉団を派遣へ

アメリカ、エジプト、カタールの首脳は先週、共同声明を発表し、イスラエルとハマスに協議の再開を要求。ガザの住民と、今もガザで拘束されている人質111人(うち39人は死亡と推定されている)を救うよう求めた。

また、合意の枠組みは「交渉テーブルの上に置かれており、実施の細部を詰めるだけ」の状態だと主張。必要であれば、双方の溝を埋めるための案を提示する用意があると付け加えた。

これに対しイスラエルは、15日の協議に参加する交渉チームを派遣すると述べた。

しかしハマスは、新たな交渉を始めるのではなく、1カ月半前の協議に基づいた計画を提示するよう仲介者に求めた。ハマスはイスラエルやイギリスなどがテロ組織に指定している。

米紙ニューヨーク・タイムズは13日、イスラエルが7月27日付の書簡で、バイデン氏が5月末に提示した合意案に5点の条件を加えたことを示す、未公表文書の存在について報じた。

それによると、5月の提案では「ガザ地区の全域で、イスラエル軍を境界沿いの人口密集地から東に撤退させる」となっていたが、7月の書簡はイスラエルが引き続きフィラデルフィ回廊を支配することを示す地図が含まれていたという。

同紙はまた、イスラエルがガザ北部への住民の帰還について、非武装の民間人だけがイスラエルの支配するネツァリム回廊を通って戻ることができるメカニズムを確立すべきと、追加で求めたと報じた。

この報道に対し、イスラエルの首相府は声明を発表。ネタニヤフ首相が新たな条件を付け加えたというのは「虚偽」だと主張した。そして、「ネタニヤフ首相の7月27日付の書簡は追加条件を示すものではなく、(バイデン氏が発表した)5月27日付の提案に矛盾するものでも、それを損なうものでもない」とし、「本質的な明確化」をしたまでだと述べた。

バイデン氏は13日、交渉が「難しくなっている」と認めた一方、「あきらめてはいない」と述べた。また、合意はイランによるイスラエルへの報復を回避することにも役立つとの考えを示した。

停戦合意が可能な場合、イランは行動をやめると思うかと記者から質問されると、「それが私の期待だ。だが、いずれわかるだろう」と答えた。

イスラエルはイランに対し、「いかなる攻撃も重い代償を払う」ことになると警告している。西側諸国はイランに自制を求めているが、イランはそれを退け、「攻撃に対する懲罰的対応は合法的な権利だ」と主張している。

(英語記事 Hamas will not join Gaza ceasefire talks, senior official says

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cvg3wzppwnro


新着記事

»もっと見る