2024年8月21日(水)

BBC News

2024年8月21日

イスラム組織ハマスが運営するパレスチナ自治区ガザ地区の民間防衛隊は20日、イスラエルが北部ガザ市で避難民が滞在していた学校を空爆し、少なくとも12人のパレスチナ人が殺されたと発表した。

攻撃されたのは、ガザ市西郊のリマル地区にあるムスタファ・ハフェズ学校。民間防衛隊の報道官によると、がれきの下に多くの行方不明者がいるとみられるが、救助隊の作業は難航しているという。

イスラエル軍は、学校内にあったハマスの指揮統制センターを標的にしたと説明。民間人へのリスクを最小限に抑える段階を踏んだと述べている。

同軍は先に、南部ハンユニスでハマスに捕らえられたイスラエル人の人質6人の遺体を収容したと発表している。

この6人は、ハマスが昨年10月7日にイスラエルを襲撃した際に拘束した251人に含まれている。この襲撃では約1200人が殺された。

イスラエルはその後、ハマス壊滅に向けて軍事作戦を開始。ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、これまでに4万170人以上が殺された。

ソーシャルメディアに投稿された映像では、女性や子供たちが悲鳴をあげ、粉塵に包まれたムスタファ・ハフェズ学校から走り去る姿が映っている。

カメラが移動すると、倒壊して完全に平らになった2階建ての建物があり、そばの地面にがれきが散乱している様子が映し出される。

攻撃を目撃したウム・モハメドさんはロイター通信に対し、「安全なところに座っていた。爆発は見なかった」と語った。

「みんな消えてしまった。死んでしまった。がれきの下にいる」

民間防衛隊のマフムード・バサル報道官は、救助隊員はこれまでに12人の遺体を収容したと述べた。

また、攻撃は校舎全体を標的にしたもので、700人ほどの避難民が住んでいたと推測されると語った。

イスラエル国防軍(IDF)は、航空機は「ハマスの指揮統制センター内で活動していたテロリストを正確に攻撃」したと発表。このセンターは学校内に埋め込まれ、ハマスの部隊やイスラエルに対する攻撃を計画・実行するために使われていたという。

また、「空爆に先立ち、民間人の被害リスクを軽減するため、精密弾薬の使用、航空監視、追加情報など、数多くの措置がとられた」とした。

国連、学校への空爆多いと非難

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は今月初め、避難民を保護する学校に対するイスラエル軍の空爆の「頻度が高まっている」と非難。IDFが「民間人の死亡率が高いことを明らかに無視して」空爆を行っていると指摘した。

この指摘は、ガザ市で多くの住民が避難していたアル・タバイーン学校をイスラエル軍が標的にした後に発表された。ガザ市の病院院長は、この空爆で少なくとも70人のパレスチナ人が死亡したとBBCに明らかにした。

IDFは、この学校は「ハマスとイスラム聖戦の現役の軍事施設だった」とし、殺害した31人の「テロリスト」の身元を確認したと述べた。

国連はこの時、7月4日以来、避難所となっている学校への攻撃は少なくとも21回目で、少なくとも274人が死亡したと発表している。

ガザ地区の民間防衛隊はまた、20日にガザ中部ブレイジ難民キャンプへの攻撃で5人が死亡したと発表。パレスチナの通信社WAFAは医療筋の話として、近くのデイル・アル・バラフでも4人が殺されたと伝えた。

IDFは、部隊と航空機がガザ中心部で活動していた「多数のテロリストを排除」したと述べた。その中には、地下トンネルから出て爆発物を仕掛けようとした2人も含まれるという。

人質6人の遺体を収容とイスラエル軍

IDFは20日、南部ハンユニスでハマスに捕らえられたイスラエル人の人質6人の遺体を、ガザ地区内の「地下トンネル」で収容したと発表した。

遺体はヤゲブ・ブチシュタブさん、アレクサンダー・ダンシグさん、アヴラハム・ムンデルさん、ヨラム・メッツァーさん、チャイム・ペリさん、そしてイギリス系イスラエル人のナダヴ・ポップルウェルさんのもの。

このうち5人はすでにイスラエル当局によって死亡が伝えられていたが、アヴラハム・ムンデルさんはまだ生きていると考えられていたという。

6人は昨年10月のハマスの襲撃の際、ガザ地区との境界近くのキブツ(農業共同体)・ニル・オズと、キブツ・ニリムから連れ去られた。

IDFはイスラエル総保安庁(シンベト)と共に、遺体収容作戦を実行した。

この作戦の間、IDFは「地下トンネルのルート」につながる深さ10メートルのトンネル立坑を発見し、その中で遺体を発見したと発表した。

また、作戦中は「建物が密集した地域や、数階建ての建物内での長時間の戦闘」があったという。

人質家族フォーラムは声明を発表し、遺体の収容は家族に「必要な終結」をもたらしたと述べ、ガザに残された人質の帰還は「交渉による合意によってのみ達成できる」と付け加えた。

また、イスラエル政府に対し、「現在、交渉中の合意をまとめるために全力を尽くす」よう求めた。

ガザでの停戦と人質解放をめぐっては現在、カタール・ドーハで間接的な協議が再開されている。

また、合意交渉を推進するため、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官がイスラエルやエジプト、カタールを訪問している。

(英語記事 Twelve killed in Israeli strike on Gaza school, civil defence says/Six hostages' bodies retrieved from Gaza tunnels, says IDF

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/crrl2zlrezdo


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