2024年11月23日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年9月24日

 ホッジス元司令官は「これらの目標に対する攻撃を控える道義的・法的理由はない」と言う。バイデンは助言の多くをオバマ政権当時の当局者から得ているが、彼らはロシアについて何度も間違えた。

 バイデンが考えを変えなければ、彼の遺産は傷つくであろう。米国は、自身が作り出した罠に嵌り、どうやって抜け出すか分からないでいる。

 他方、ウクライナは西側のシステムとは別の兵器を生産する能力があることを示しつつある。彼らの精巧になりつつある長射程のドローンは日常的にロシア領奥深くの目標を攻撃している。

 ウクライナはさらに強力な兵器を開発中である。ゼレンスキーはウクライナの最初の弾道ミサイルのテストが成功したと最近発表した。

 しかし、ウクライナは長射程システムの生産を拡大させることには苦労するだろう。これこそ、ウクライナがATACMSとStorm Shadow/SCALPをそのような標的の攻撃に使うことが許されるべき強い根拠だ。現状では、リトアニアのランズベルギス外相が言うように、「ロシアの航空機の方がウクライナ市民よりも良く保護されることを西側が保証している」。

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逃げを打ち続ける米国

 英国とフランスはウクライナが西側提供の長射程の兵器でロシア領内奥深くの軍事目標を攻撃することを容認する立場であるが、米国はこれに反対している。ドイツも反対である。

 ウクライナはドイツの長射程のTaurus空中発射型巡航ミサイルの提供を欲しているが、ショルツは言を左右にして頑として応じていない。英国とフランスも出来れば米国と足並みを揃えたい希望と見受けられる。

 9月6日、ラムシュタイン空軍基地で開催の支援国会合に初めて出席したゼレンスキーは「我々はウクライナの占領地域だけでなくロシア領内に対しても長射程の(攻撃)能力を持つ必要がある」として、米国製兵器(典型的には長射程のATACMS地上発射型弾道ミサイル)に課せられている使用制限の解除を要請した。しかし、オースティンは慎重姿勢を崩していない。

 会合の後の記者会見で、オースティン国防長官は(記者の質問に対し)「我々が常に言って来たことだが、この作戦にはそれ自体として決定打となるような単一の能力は存在しない。このことは戦車について議論した。その他の能力についてもこの議論をした。その度に、問題は単一の能力ではない、それは能力の組み合わせであり、どうやってそれらの能力を統合して目的を達成するかである、と我々は指摘して来た」と応答した。


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