2024年11月5日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年10月16日

 西側の最も重要な「のろま」はドイツである。1949年NATOが結成された時、その目的は簡潔に「米国を欧州に引き留め、ロシアを去らせ、ドイツを抑えこむこと」とされた。しかし、今やドイツは力を使うべきである。

 ドイツを含む西側はウクライナに相当な支援を与えた。しかしより多くの兵器やその使用への制限の減少なしには、西側は敗北を被り、プーチンの西側の耐久力の弱さの推定を実証するかもしれない。

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ロシア領内の変化が戦況を変える

 ジョージ・ウィルは米国、特にワシントンで諸方面に影響力を持つ優れた論説家であり、立派な歴史家である。彼の歴史に関する造詣には深みがある。

 今のウクライナ戦争と中東戦争は下手をすると、第三次世界大戦につながりかねないとのウィルの考え方に賛成である。そして、それを止めるためにはウクライナでプーチンを止めることが重要である、という見立てにも賛成である。

 バイデン政権はウクライナに供与した兵器をロシア領内攻撃に使用することを許さず、ウクライナ戦争をエスカレートさせないことに重点を置いているが、これは間違った政策であるように思われる。

 ロシア人兵士の死傷者は50万を超えてきていているが、ロシア人にはさらに戦争を実感させることが必要である。ロシア領内で通常の生活を送れる限り、ロシアがウクライナ戦争をやめたいと思う強い動機は出てこない。ウクライナによるロシアのクルスク州への越境攻撃は一つの手であるが、さらにロシア領内を自衛権行使の範囲内でたたくことが有効であろう。


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