在ウクライナジャーナリストのAnna Husarskaが、ウォールストリート・ジャーナル紙に9月15日付で掲載された論説‘Crimea Shows What Ukraine Can Do’において、クリミアへの攻撃を例に引きつつ、軍事的に有効で国際法的にも何ら問題ないとして、一刻も早くウクライナへの長距離兵器の使用を許可すべきである、と論じている。概要は以下のとおり。
ウクライナのクリミア半島への反撃の成功は、キーウがロシアに長距離兵器を発射するのを許可する最も強力な根拠であるかもしれない。ウクライナが占領下の半島で成し遂げたことは、ロシア領土への攻撃が多くのウクライナ人の命を救い、プーチンを追い詰めることができることを証明している。
米英仏3カ国は現在、ロシア領土を攻撃しないという条件付きで長距離兵器を提供しているが、クリミアでの戦闘は、ウクライナは道具とそれを使用する自由を与えられれば、プーチンの戦争マシンを弱体化する方法で反撃できることを証明している。
ウクライナ軍は、早くも2022年4月に国産兵器でクリミア半島に大きな損害を与えた。昨年、西側同盟国がウクライナに長距離兵器を提供し、ロシア占領地域での使用を許可した後、キーウの取り組みは特に効果的になった。
昨年9月、ウクライナはストームシャドウ・ミサイルを使用して、セヴァストポリにあるロシアの黒海艦隊司令部を攻撃した。その後、ウクライナ軍はATACMSを用いてクリミアにおけるロシアの軍事拠点を次々と攻撃した。
これらの攻撃ならびにウクライナ独自の武器による攻撃により、これまでウクライナの人々を殺害し、病院、学校、発電所を破壊していた陣地からロシアは撤退せざるを得なくなった。昨年10月、ロシアは黒海艦隊をクリミア半島のセヴァストポリからロシア領内のノヴォロシースクに急遽移動させた。
このような動きと半島におけるロシアの力の全般的な低下により、ウクライナは5月、南部の港から穀物の海上輸出を再開することができた。この夏、オデッサ、ムィコライウ、ザポリージャの民間人居住区が受けた攻撃はそれ以前に比して遥かに少なかった。
米国がウクライナに対しATACMSを使用してロシア奥地の飛行場を攻撃することを承認すれば、モスクワの射程範囲は劇的に短くなる可能性がある。ロシアの航空機はさらに遠くに移動しなければならず、ロシア空軍の出撃回数は減り、民間人は避難する貴重な時間を得ることになる。