2024年11月21日(木)

勝負の分かれ目

2024年11月5日

 スポーツニッポンによると、歴代日本一の球団の中では、75年の阪急のシーズン勝率・520を下回る最低勝率からの頂点だった。07年のCS導入以降、リーグ優勝チーム以外の日本一は以下の表の通り、5度目となった。

躍動の導火線となった選手

 リーグ3位のDeNAと、圧倒的な強さでパを制したソフトバンクの勝負の分かれ目を試合結果から検証する。

 まずは、「シリーズ男」の存在だ。

 ポストシーズンの短期決戦で飛躍する選手の有無は、「水物(みずもの)」といわれる打線において大きな影響を与える。

 今回はシリーズMVPにも選ばれたDeNAの桑原将志選手が、大きな存在感を示した。

 桑原選手は全6試合で1番を託され、27打数12安打で打率4割4分4厘、1本塁打、9打点の大活躍。第2戦からは日本シリーズ新記録となる5試合連続打点をマークし、第6戦は1点リードの2回2死二、三塁から2点適時打を放って、チームに勢いをもたらせた。チャンスメークに、ポイントゲッターにと打線に勢いをもたらしただけでなく、第3、5戦は守備でもダイビングキャッチの好捕で盛り上げた。

 7年前に初出場した日本シリーズでは同じ1番を担いながら、6試合で26打数4安打10三振と苦しんだ。今回は、同じソフトバンク相手のリベンジ。

 米大リーグでも、ポストシーズンの10月に勝負強い打者は「ミスター・オクトーバー」と呼ばれ、今季もワールドシリーズ(WS)を制したドジャースで、大谷翔平選手の同僚であるフレディ・フリーマン選手がWS5試合で打率3割、4本塁打、WSタイ記録の12打点をマークしてシリーズMVPを獲得した。日本シリーズも、桑原選手の活躍が、DeNA躍動の導火線となった。

打線に厚みを出したDH制

 パの本拠地で導入される指名打者(DH)も、DeNAが味方につけた。

 2連敗で迎えた第3戦からの敵地3連戦は、第1戦で左足を負傷したリーグ首位打者のタイラー・オースティン選手をDHで起用した。3、4戦は一塁に佐野恵太選手、左翼に筒香嘉智選手を置いたことで、打線に厚みが出た。

 オースティン選手は4戦目で先制本塁打を含む3安打、2打点と勝利に貢献。筒香選手は3戦目にリードを2点に広げる貴重な犠飛、5戦目も先制適時打を放った。5戦目は、代打で好調だったマイク・フォード選手を「5番・一塁」で起用するなど、強打者がそろうDeNAが、DHで1枚増えた野手を有効的に活用した。

 実は、DHが使えた今季の交流戦でも、パの本拠地で行われた12試合で11勝1敗と圧倒的な強さを発揮している。デイリースポーツの記事によると、DeNAの石井琢朗チーフ打撃コーチは「うちにとってDH制の野球が合っていたのでは」と分析する。

 対するソフトバンクは、打線の沈黙が響いた。

 第3戦の2回から第6戦の3回まで29イニング連続で無得点シリーズワースト記録を更新した。レギュラーシーズンでは本塁打と打点で2冠だった4番の山川穂高選手が、第2戦の第4打席から16打席連続無安打と大不振のまま終戦を迎えた。


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